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アルゼンチン=輸入規制で国内産業が打撃=保護主義の波紋多方面に

ニッケイ新聞 2012年2月23日付け

 国内産業を保護する目的で保護主義的な輸入規制を行ったことで、アルゼンチンの国内産業が損害を受けはじめていると22日付伯字紙が報じている。
 アルゼンチン政府は2月1日から、国内の輸入業者に輸入を希望する品物の詳細を書いた申請書の提出を義務付けているが、アルゼンチン輸入業者商工会議(CIRA)によると、この対策によりブラジル製品を含む多くの品の輸入で大きな遅れが生じているという。さらに、申請書はCDでしか受け付けず、対外商業局に直接持ち込まなければならないうえ、輸入の可否は、申請から最低18日待たないとわからないという。
 こうした事態により、現在アルゼンチンではネジ製造機や農業機械、石油産業での必需品をはじめ、ほぼ全ての工業分野で物資不足が起こり、生産にも支障をきたしはじめているという。
 こうした実情を受け、ブラジル政府やサンパウロ州工業連盟(Fiesp)などが苦情を呈し、ウルグアイ、パラグアイ、チリなどの周辺国も続々と不満の声をあげている。
 また、税関で輸入品が止められることで、有効期間が30〜60日のエイズ治療の薬品などに期限切れの問題が生じている。他方、家電製品の輸入が滞ってしまったことでアルゼンチン国内の消費者がウルグアイまで買いに行き、その結果、ウルグアイの家電製品の売上が上昇する事態も起きている。さらに意外なところでは、ブラジル企業のトラモンチーナが、アルゼンチンの輸入規制に反対する形で同国の名門サッカーチーム、リーヴェル・プレートのスポンサーを降板したという。