ニッケイ新聞 2012年2月24日付け
【既報関連】本紙23日付けコラム「樹海」で触れたブラジル銀行での不可思議な事件。実は新手の手口による犯罪のようで注意が必要だ。未読の方のために、ざっと経緯をお伝えしておこう。
60代の日本人男性がカーニバルの18日、ブラジル銀行ガルボン・ブエノ支店に立ち寄ったのだが、機械に入れたカードが取れなくなった。
コールセンター(0800・8922・100)に電話し、ブロケイオの手続きをしたが、1万7千レアルが引き出され、何とブロケイオもされていなかった—というもの。
この男性が22日に銀行に行ったところ、新たな事実が判明した。男性がかけた番号は、銀行にパンフレットの形で置いてあったものなのだが、実は全くの偽番号。
コールセンターと思い込んだ男性が、暗証番号を含めた個人情報を犯罪グループに伝えてしまったというわけなのだ。
「本物そっくりに機械の案内が流れて『この通話は録音されています』と。完全に信用してしまった。応対したのはカミーラという女性だった」。このデータを元にカードが偽造された可能性がある。
であれば、カードが機械に残っているはずだが、銀行によれば「現在調査中」だという。
カーニバル休暇で数日にわたり係員がいないことを見計らって、偽パンフレットを支店に置いておく。カード挿入口に何らかの細工をし、親切を装って、パンフレットを勧めるという流れのようだ。
男性によれば、「使えないように」とカードを押し込んで電話するように勧めてきたのは、隣にいた20歳位の日系女性だったという。
「よく考えたら、すぐにパンフレットの番号に電話するよう言ってきた。グルだったのか…」 送金された金はすでに引き出されている。専用の口座が用意されているようで、組織的な犯罪のようだ。
最終的に約2万レアルの被害だったようだが、銀行側は、補償を確約しているという。
男性は「係員がいない時に問題が起きたときは、絶対に銀行にある番号にかけず、カードやシェッキに書いてある番号(4004・0001)に電話して」と注意を呼びかけている。