ニッケイ新聞 2012年2月25日付け
「森は海の恋人」運動を繰り広げる宮城県気仙沼市の畠山重篤さんが、国連から「森のヒーロー」に選ばれ話題になったが、森と海は実に深い絆で結ばれている。森の落ち葉や腐植土が川に流れプランクトンが豊かな海を育てる事を実践し大きな功績を上げたのが評価されたのだが、こうしたケースは北海道でも成功し、あの日高昆布が健やかに繁茂するようになっている▼地球の水は海水が98%超であり、アマゾンやナイルのような大河を含めても真水は高々2%にも満たない。しかも、この水を造り出すのは緑が豊かな山であり、森なのである。生き物の生存に欠かせない酸素も樹木や草々なのだから、人々はもっと森と木々を大切にしなければならないのに—緑を見ると「綺麗だな」で終わるのは眞に残念だ▼移民100年祭の時にも、「森に木を」と、樹海で訴えたのだが、余り効果はなかったようだ。それでも、移住者協会が「植樹運動」を展開し、確か10万本を植えるとかの趣旨で熱心に取り組んでいるのは悦ばしい。群馬県人会もアマゾンに植林をと頑張ったけれども、今は資金不足らしく、活動が鈍りがちなのは唯々惜しい。そんなところに鳥取県人会が、モジ市のサンパウロ州水道局のダム周辺に「鳥取の森」をと検討しているそうだが、是非とも実現してほしい▼あそこには山添源二さんという林学の専門家がいるし、樹種が60種以上というのがいい。森もいろんな樹木が入り混じったのが理想だし、50年後の見事な「鳥取の森」を夢に見たい。21日付けで陛下の87歳を「78歳」と訂正しお詫びします。(遯)