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原油価格がインフレ圧力化=ブレントが124ドル=国内でも調整は不可避か=基本金利は下げる見込み

ニッケイ新聞 2012年2月29日付け

 米国に景気回復の兆しが見えだした事で始まった原油価格上昇が中東情勢によって加速された事で、インフレ圧力が強くなれば、各国中銀に政策変更を強いる可能性も出てくると28日付伯字紙が報じている。

 国際市場でのブレント原油価格は27日に1バレル124ドルまで上昇しており、イスラエルとシリアの関係悪化やイランの核開発問題などが更に深刻化すれば150ドルに達する可能性もとささやかれ始めた事で、インフレへの懸念が高まっている。
 ブレント原油は原油価格市場の主要原油の一つで、主にイギリスの北海にあるブレント油田から採れる硫黄分の少ない軽質原油。WTIと呼ばれる西テキサス原油ほどではないが良質な油であるため、欧州やアフリカ、中東の精製石油の価格はブレント原油を基にした価格指標に関連してつけられる傾向がある。
 このブレント原油価格が2月に11・7%、1月からでは14%(エスタード紙は16・5%と記載)上がったのだから事態は深刻で、原油は今年値上がりが見込まれるコモディティの筆頭だ。
 原油価格が現状のまま高止まりするか更に上昇した場合、懸念されるのはインフレで、26日付エスタード紙によれば、ペトロブラスのマリア・ダス・グラッサス・フォステル総裁も24日、原油価格が高騰すれば、国内の燃料価格調整は不可避との考えを示した。
 一方、フォステル総裁が監視を強めると発言したのは、採掘や精製のための施設の納期だ。採掘や精製のための施設の納入や工事の遅れは、生産量の伸び悩みやガソリンなどの派生品の輸入増加を招き、ペトロブラスの減益や消費者価格の上昇にもつながる。
 同様の視点から27日に、ペルナンブコ州に建設中のアブレウ、リマ両精製所の工事の遅れは許されないと発言したのはジウマ大統領。大統領は国際価格に左右されず、安定した価格で燃料を提供するためには精製所が不可欠と考えており、訪問先のセアラ州で「(ベネズエラが約束した資金の支払いが実現しないために遅れている)アブレウ、リマでの精製所の建設の遅れは、州レベルの問題ではなく、国全体の問題」と強調した。
 燃料価格の上昇は航空運賃や輸送経費などにも繋がり、インフレ圧力が増せば、中銀も景気刺激よりインフレ抑圧を重視する必要が生じるが、国際相場の動きに対する対応は、原油輸入国か輸出国化によっても違う。
 重質原油が多く精製に手間取るブラジルの場合、ガソリンやディーゼルのような派生品は一部輸入が必要で、国際価格の動きと完全に無縁ではいられないが、現時点では燃料価格の急騰は起きておらず、政策基本金利の引下げは3月も断行される予定だが、金利が一桁になるのが3月か否かは今後の世界情勢が左右する。