ニッケイ新聞 2012年3月2日付け
ブラジル世論調査・統計機関(Ibope)が2月28日、国内総生産(GDP)の30%を占める21の製品やサービス購入額は今年、13・5%増の1兆3千億レアルに達する見込みと発表したと同29日付エスタード紙が報じた。国内消費は経済の牽引車で、2011年は10・5%の伸びだった。
昨年は10・5%増の国内消費が今年は13・5%増との予想は、ブラジルが前年以上の経済成長を遂げるという期待の表れでもある。消費を支える主要因は、安定した雇用と所得向上、新興中流階級のCクラスの拡大だ。
だが、DEクラスがCクラス、CクラスがBクラスのような階層移動が進んでも、階層毎の購買比率予想に見る購買力の差は歴然としている。
たとえば、総世帯数の2・6%を占め、世帯所得の平均が1万400レアルのAクラスは、CDやDVD、金融商品、家内装飾品、車の購入で全体の25%超を占める。映画鑑賞も21・3%はAクラス。世帯数は2・6%だが、21項目の消費額では16・2%、所得では実に23・7%を占めている。
また、平均所得3800レアルのBクラスは、燃料と教育で各々58・3%を占め、映画では54・6%、自動車関係のサービス利用とスポーツ用品購入で各53・8%を占める。
また、世帯数の52・4%を占め、平均所得が1570レアルのCクラスは、煙草類の半分、肉やその加工品などの食品類も44〜48%を購入。子供服や家電製品、携帯電話の購入も全体の43〜44%を占めており、所得は全体の26・9%だが、21項目の購入額では全体の38・7%を占める。
一方、世帯所得の平均が780レアルのDEクラスの場合、食品類や煙草類、衣類の購入額はいずれも12〜13%にとどまっている。
社会階層の分け方は調査毎に違い単純比較はできないが、1月22日付エスタード紙によれば、地理統計院調査による昨年のEクラス世帯は0・8%の40万4900世帯で、初めて1%を割った。1998年のEクラス世帯は13%だった。ダッタ・ポプラールによれば、一人当たりの月収79レアル以下のEクラスは2001年には1730万人いたが、11年には人口の3・6%の700万人に減少した。
また、地理統計院による11年のAクラス世帯は0・5%、Bクラスは30・6%、Cクラスは49・3%、Dクラスは15・1%だった。
Ibope関係者は、ブラジルの消費傾向は現在のCクラスがBクラスに移動するとまた変わると見ており、その時期は2〜3年以内。今年の地域別の消費の伸びは、北伯26・5%、北東伯24・1%、南伯19・7%、中西伯19・4%、南東伯6・5%と予想されている。