ニッケイ新聞 2012年3月9日付け
保険金詐欺の苦情が増えており、自動車事故に関するものが多いことがわかった。8日付エスタード紙が伝えている。
民間保険制度監督庁(SUSEP)によると2012年1月は、過去5カ月で最高の100件の苦情が寄せられ、そのほとんどが、自動車事故による人身被害への強制保険(DPVAT)金の払い出しに関するものだという。DPVATは、エンジンで走る乗り物によって起きた事故の犠牲者(運転者と歩行者双方を含む)に払われる。
犯行は主に以下のような手順で行われている。交通事故で死亡もしくは障害を負った被害者の親類に接触した詐欺師が、「DPVATの手続きを簡単にし、賠償金を早く届けさせてみせる」と仲介役を名乗り出る。その際、このサービスがいかに優れたものかを誇示した上で「手数料さえ払えばこんなに簡単」と持ちかけるという。接触は電話や電報、手紙によって行われ、手数料を受け取ると、払いだされた保険金ごと姿を消す。
DPVATの手続き代行サービスは実在しないが、手続きそのものは簡単で、申請から30日ほどで、死亡もしくは障害の場合1万3千500レアル、怪我なら2700レアルを受け取ることが可能。SUSEPが11年1〜10月に受け付けた苦情の約31%の1万1085件がDPVATに関するもので、怪我の場合の事件はまれだ。
また、保険員を装って消費者に近づき、「うちの保険の方が他の保険よりお得」と架空の保険を勧める例もあるという。
企業能力開発プログラム(Pro/FIA)のアントニオ・ペンテアド・メンドーサ教授は「C、Dクラスの台頭で初めて車を買う人が増え、保険の扱いに不慣れなのに乗じた詐欺だ」と語っている。