ニッケイ新聞 2012年3月21日付け
リオ連邦大学付属病院の小児科学研究所での不法入札の様子がテレビで暴露され、警察や検察が動きだすと共に、保健省やリオ州、リオ市などが汚職に関わった関連団体との契約を打ち切った。19〜20日付G1サイトなどが報じている。
不正摘発の契機となったのは、18日夜、TVグローボの「ファンタスチコ」が報じた独占スクープだ。
番組関係者が小児科学研究所の理事たちと知り合いであったことで潜入を許可されたレポーターのエドゥアルド・ファウスチニさんが、新任の購買担当者に成りすまし、病院内で必要な各種サービスの入札に関心のある業者と面談。公営の医療機関の業務委託や設備購入などは、入札が義務付けられている。
入札は3台のカメラが回る中で行われ、トエザ・サーヴィス、ロカンチ・ソルソンエス、ベラ・ヴィスタ・レフェイソンエス・インダストリアイス、ルフォロ・セルヴィソス・テクニコス・エ・コンストルソンエスの4社が、清掃や救急車の賃貸、その他のサービスについて交渉。
賄賂の割合を「カミーザ」という隠語を使いながら交渉し、15〜20%の水増しで100万レアル単位の賄賂の授受を約束するシーンは、字幕つきで放映された。
放送後の波紋は各方面に広がり、リオ州政府とリオ市役所は19日に、4社との契約を破棄。連邦警察と検察庁も同日、放送に登場した4社に対する調査を開始した。
リオ州地方医師協議会(Cremerj)のマルシア・ローザ委員長は「保険費がカットされ、医師たちは安い給料で働いているのに。厳密な調査を行って事実を明らかにし、医療現場としてちゃんと機能しているところにお金を返してほしい」と憤りを表した。
なお、報道後、ロカンチは番組に登場した社員2人を解雇したと発表。他の3社はコメントを発表していない。
この問題は国レベルに広がり、ジウマ大統領は19日夜、他の国立病院でも4社との契約の有無などを捜査する意向を発表。メルカダンテ教育相は「(不正に気づいていた)大学病院関係者が今回の摘発に協力したのは素晴らしいことだ」と語り、今回の件は緊急時の契約締結などが公正に行われているかが判りやすい電子入札と直接管理を推奨する政府の意向を後押ししたとしている。
保健省は20日、国立整形外科研修所、国立癌センター、国立心臓医療研究所の各機関と不正疑惑の4社が結んだ契約打ち切りを発表。国庫庁や連邦会計検査院も捜査に乗り出している。