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中国失速で証券市場揺れる=鉄鋼産業は厳冬期に?=Vale株も下落免れず=保有の希少金属活用法は

ニッケイ新聞 2012年3月22日付け

 世界最大の鉱業会社BHPビリトンが中国経済は失速中と発言し、20日の証券市場では鉱業会社株が軒並み低下と21日付伯字紙が報じた。昨年は鉄鉱石の44%を中国に輸出したValeは1・53%下落に止まったが、コモディティ依存率が年々高まるブラジルには気がかりな状況だ。

 ブラジルにとり、世界最大の貿易相手国である中国の経済失速は、最大の輸出品目である鉄鉱石の販売量や価格を大きく左右する重要案件だ。
 オーストラリアのBHPと英国のビリトンからなるBHPビリトンによれば、中国の鉄鋼産業は失速状態。中国の鉄鉱石需要は今後10年も増え続けるが、従来並みの増加は望めないという。
 一方、中国の経済成長率は低下しても、鉄鉱石の輸入は世界的な需要の伸び以上のペースで拡大するとみているのはRio Tinto。20年までの中国の鉄鉱石消費は10億トンに達し、世界全体の消費量の半分、2位のインドの8倍を消費すると見ている。
 Rio Tintoの発言はBHPビリトンほど重要視されなかったのか、BHP発言は世界中の証券市場を揺さぶり、20日のロンドン市場でのBHP株は4・1%下落。オーストラリアドルも米ドルに対し1・1%安に終わった。20日のロンドン市場で株価が下落した上位10社中7社は鉱業会社だった。
 鉄鉱石生産では3指に入り、中国が最大の相手国のVale株もサンパウロ証券市場で1・53%安、ボヴェスパ指数は0・64%下げた。
 中国失速の情報が世界中を走ったのは、世界で取引される鉄鉱石の6割は中国に流れているからで、鉄鋼業の不振は他産業の失速も意味する。
 例えば、10年の中国の自動車販売は前年比32・44%伸びたが、11年は2%台の伸び。今年1月の新車販売は前年同月比26%減だ。
 また、鉄鋼業界の利益率は04年の8・11%をピークに、10年は2・57%、11年は更に下がっている。また、今年の鋼材市場は消費が伸びず、価格低下と在庫拡大が起きている。
 中国鉄鋼業界は「12年は冬」とされるが、市場の低迷と生産コスト上昇に泣くのは全産業共通で、輸出向け服飾企業は年内に3割倒産の予測まで出ているという。
 金融引締めで投資が縮小、市場が低迷していたところに欧州債務危機が発生して外需も落ちた上に、インフレで人件費などの生産コスト上昇し、経済成長率の下方修正という中国の姿は、ブラジルと重なる部分も多い。
 鉄や銅などの強度増強や発光ダイオードや半導体などに必要な電子・磁性材料その他に使う希少金属の輸出関税を、中国が4月から引き上げる事に反対する欧米諸国が世界貿易機関(WHO)に訴えたのが19日。中国に並ぶ希少金属保有国のブラジルが、新しい活路を見出す機会かもしれない。