ニッケイ新聞 2012年3月22日付け
今日22日は「世界水の日」だが、ブラジル内での水に関するデータが発表され、問題点や改善点が浮かび上がっている。21日付エスタード紙が報じている。
1992年にリオで行われた「地球サミット(Rio92)」開催中に発表された、リオの名所であるグアナバラ湾の清浄計画(PDBG)もそのひとつだ。
サミットから20年を経た今も成果はあまり出ておらず、周辺15市の下水処理率は36%のみ。現在も同湾には未処理の下水が毎秒1万リットル流れ込んでいる。
グアナバラ湾清浄計画は1995年にスタートし、これまでに7度延長。1994年末から届き始めた中央アメリカ開発銀行(IDB)や日本の国際協力機構(JICA)からの資金とリオ州からの資金を合わせ、11億7千万米ドルがつぎ込まれてきた。
当初の契約では、17万8千戸の下水を1248キロメートルのパイプで処理場に集めることになっていたが、2006年11月の時点での下水道設置は603キロメートルで、下水処理がされているのは5万4千戸分のみだ。
2011年11月からはプロジェクト名がグアナバラ湾周辺地域環境衛生プログラム(PSAM)に変わり、リオ州環境局のカルロス・ミンク局長を中心とした清浄計画が進行中で、IDBから新たに8億2千400レアル、リオ州からも3億2千800万レアルの支援を受け、94年からの投資額は合計で20億レアルを超えた。
ミンク局長は「2014年までに65%、16年のオリンピックまでに80%完成させたい」と語っているが、IDBの試算では80%完成は2018年となっている。
一方、20日に発表されたサンパウロ州水資源レポートによると、サンパウロ州の下水処理は2004年〜2009年の5年で25%改善され、全体の処理率は39%から49%に上昇した。だが、これは逆に、現在も51%の排水が未処理のまま川に流れ込んでいる計算となる。
この報告書で最悪の数値を示したのは、マンチケイラ山脈のカンポス・ド・ジョルダン、サントアントニオ・ド・ピニャル、サンベント・ド・サプカイの3市で、6万4300人の生活廃水の96%が川に流れている。また、ワースト2位はサントス海岸地域で、160万人が居住する同地区での下水処理率は9%。2009年の場合、サンパウロ州海岸の66%が海水浴に不適(08年は77%)とされたのも下水処理が進まないためだ。
下水処理が現在のペースでしか進まないと仮定した場合、サンパウロ州の下水処理が100%になるのは25年後になる。