豪州留学生=様々な憶測乱れ飛ぶ=深まる警察の誤認追跡説=ビザは14年まで取得済
ニッケイ新聞 2012年3月23日付け
オーストラリアで18日に起きた、語学留学中のブラジル人大学生ロベルト・ラウディジオさんの死亡事件をめぐり、様々な憶測が飛び交い始めている。22日付伯字紙が報じている。
事件の発生は18日午前5時頃。シドニーのキング通りのコンビニエンス・ストアでビスケットを万引きした犯人と見られたラウディジオさんが6人の警官に追われ、テイザー社製スタンガンを4発体に受けてショック死した。ラウディジオさんは友人とナイトクラブで遊んだ後、1人で帰ろうとしており、上半身裸で、手には何も持っていなかった。また、死の直前、同じシドニーに住む姉に「おどされている、助けてくれ」と携帯電話で通報を行っていた。
この事件をめぐって、いくつかの疑惑が渦を巻いている。最初は、ラウディジオさんがコンビニエンス・ストアで窃盗を働いた犯人と同一人物かという点で、ラウディジオさんの友人と親類は、事件のあった地区に設置されているビデオ・カメラの映像で確認した後、警察官が当初追っていた人物はラウディジオさんとは違う人物であると発言した。
また、コンビニエンス・ストアの店員の証言によると、店に侵入した窃盗犯はシャツを着ていたとされ、それも上半身裸だったラウディジオさんと一致しない。店内でもビデオは撮影されていたが、警察はこれを公開していない。
次は、「ラウディジオさんがなぜ警察から逃げたか」という点で、オーストラリアの新聞は「ビザが切れ、不法滞在状態だった」「ナイトクラブで麻薬を吸っていた」と二つの推測を行ったが、ラウディジオさんの親類は「ビザは2014年まで有効だった」とし、前者の説を否定した。
後者に関しては、21日付のオーストラリアの新聞で匿名の友人が「死の何日か前からナイトクラブで麻薬を吸っていた」と証言したという報道がなされたが、フォーリャ紙が死の直前までナイトクラブに一緒にいたアロンと名乗る友人に直接質問したところ「ビールを2、3杯飲んだ程度だ」と答えている。
また、ラウディジオさんの死亡原因となったテイザー社のスタンガンは一般には安全な武器とされているが、5万ボルトの電流を流すとされ、逃げている人にある程度の距離から撃っても5千ボルトの電流を発射し、世界でも死亡例が確認されている。また、酒や麻薬の使用者に使うと危険度が増すという。
ラウディジオさんは両親を早く亡くしており、事件後には妹とおじが渡豪。シドニーを管轄下に置くニューサウスウェールズ州警察の責任者は21日、ブラジル領事館に早期解決を約束した。