ニッケイ新聞 2012年3月24日付け
ジウマ大統領が22日、国内大手の企業家や銀行界の代表ら28人を集め、年最低4%の成長達成のための協力を呼びかけたと23日付伯字紙が報じた。為替安定や減税への努力を約束しつつ業界側の投資努力を促す形の会談は3時間半に及んだという。
ルーラ前大統領の時はもっと門戸が開いていた—。国会や労組からの不満は、企業家達の中にもたまっていたもので、3時間半の会合は、政府と業界の間の風通しを少しよくしたようだ。
昼食時に人を呼びつけて共に食事をさせるのが常のジウマ大統領だが、閣僚との対話回数にも大きな偏りがあるだけに、各界とのパイプ役だったアントニオ・パロッシ元官房長官の辞任後は、企業家達の中でも不満がたまっていたというのは無理からぬ事。連立与党までが政府と対立し、国会が空転する中で計画された会合で、企業家達の声を聞いた上、意欲を焚きつけて投資を呼び込もうとの大統領の目論見は、政府側に対話の意思がある事も明らかにした。
会合に招かれたのは、ゲルダウ・グループのジョージ・ゲルダウ氏やイタウ銀行のロベルト・セツバウ氏、ポン・デ・アスーカルのアビリオ・ディニス氏など、各業界を代表する面々で、各社の収益は国内総生産の12%を占める重鎮揃い。政府側も、ギド・マンテガ財務相、フェルナンド・ピメンテウ商工開発相ら8人が参加した。
ジウマ大統領が約30分話した後、時間を与えられた参加者達は、ドルとレアルの為替の不均衡や重税がブラジル企業の国際的な競争力をそいでいる事などを口々に訴え、政府がもっと迅速な対応をとるよう求めた。
一方、政府側も、為替の安定のためには今後も最大限の努力を続けると約束。現在は繊維や製靴などの業界のみに適用されている、給与支払い額を元にしての徴税を収益に基づいて行うという形での減税対策を、工業界全体に拡大する意向である事や電力料金低減化への道も模索中である事なども明らかにした。
3月末で終わる白物家電への工業製品税(IPI)減税についての質問に対しては、明確な回答はなかったが、インドへの公式訪問後に新たな景気対策を発表とのジウマ大統領の言葉は、参加者の好評を得たようだ。
ブラジル企業の国際競争力を高めるために政府も努力するから、年最低4%の経済成長の達成と将来の飛躍のためにも投資を増やすようにとの呼びかけには、政府の対応は遅いとの不満の声も返ってきたが、政府だけでは飛躍は困難との言葉に同意し、投資努力を促された企業家もいたようだ。
国際経済が不安定な中での舵取りは細心の注意が必要なため、国家貿易審議会の設立なども検討中で、経済刺激や為替安定のための新たな対策に期待が高まっている。