ニッケイ新聞 2012年3月27日付け
ブラジル全体の囚人の3分の1がサンパウロ州で投獄されていることが判明した。25日付フォーリャ紙が報じている。
法務省の調べによると2011年7月現在、ブラジルの262人に1人が刑務所に入っている。これは1995年の627人に1人を大幅に上回る数字だが、サンパウロ州はその3分の1を占め、171人に1人が投獄されている。
また、人口1万人あたりの囚人数は269・38人で、これも95年の95人から3倍の伸びを示している。この割合を世界で最も人口の多い10カ国(ブラジルは世界第5位)で比べると、ブラジルは米国の730人などについで世界第3位となる。
従来は、こうした逮捕者の増加は都会部での暴力犯罪の増加の結果と見られ、実際、2003年までの調査ではそれが当てはまっていた。だが、サンパウロ州の殺人事件発生率はこの10年で60%以上落ちており、研究者の間では、2006年の麻薬取締法適用で常習者が投獄されなくなった一方、密売者は釈放がなく、最適5年の服役となったことで逮捕者が増えたのではないかと見ている。
また、ブラジルの場合、貧しい青年犯罪者が裁判を受けられないケースが多く、刑務所に収監中の40%以上が未決犯だ。これは米国の21%を大きく上回っている。未決囚の多くは窃盗犯で、殺人犯よりも多いという。
国家法務審議会が25州で行った最近の集団審査では、保護観察付きの執行猶予や公益奉仕などの代替刑に定期的な裁判所への出頭命令などの適用により、罪状はそのままで7万2千600人の囚人に恩恵が与えられ、3万6千人が出所。ジウソン・ディップ高等裁判事は「暴力性を伴わない軽度の窃盗は拘禁刑の対象にはならない」と語っている。