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盗難車で一大市場築かれる=盗みや解体で年5億レ=警察だけでは解決困難=チエテ川底から600台?

ニッケイ新聞 2012年3月29日付け

 サンパウロ州保安局が、殺人事件は減少しているが自動車を含む強盗事件や強盗殺人が増えていると26日に発表と27日付伯字紙が報じた。強盗殺人につながり易い自動車強盗は14%増えており、総合的な対策が急務だ。

 保安局の発表によると、今年1、2月の殺人事件は2・17%減ったが、一般的な強盗事件は2%、自動車強盗は14%、強盗殺人事件は12%増えたという。
 この傾向はサンパウロ市でも同じで、10万人あたりの殺人事件は8・8件で1999年以降の最小値となったが、一般的な強盗や自動車強盗は3%と17%増え、州全体の増加率を上回った。
 サンパウロ市の場合、自動車強盗を含む強盗事件が増えたのは中心部より郊外。一般的な強盗事件の増加は、東部ヴィラ・マチルデの169%を筆頭に、南部ジャルジン・ダス・インブイアス89%、東部パルケ・ド・カルモ61%、北部リモン61%などとなっている。
 また、サンパウロ州では2011年、暴力行為を伴う強盗と暴力行為を伴わない窃盗の双方による盗難車を巡り、本体や部品の転売、解体、盗みの実行犯への報酬などで、一大市場が形成され、年5億レアルが動いたと18日付エスタード紙が報道。強盗殺人事件の4分の1は自動車強盗に絡むとも報じられている。
 フォーリャ紙が19日付で報じた集計では1、2月のサンパウロ市での自動車強盗は7280件で、前年同期比23・5%増。サンパウロ市で自動車強盗が頻発したのは、東部サポペンバ大通りが83件で1位。2位のジャク・ペッセゴ大通り(東部)は66件、3位のライムンド・ペレイラ・デ・マガリャンエス大通り(西部)は60件だった。
 自動車強盗の発生数上位10の通りは、東部のサンマテウス、イタケーラ管内各2、南部のサントアマーロ管内4、西部と北部各1で、フェルナン・ヂィアス、アニャングエラ、ヅットラ、ラポゾ・タヴァレスの各街道でも多発している。
 車の窃盗は、マルジナル・ピニェイロスの終わりとその周辺の三つの通りを含むカンポ・グランデ地区が最多。ショッピングセンターや病院のように、車で来る人が多い施設の駐車場やその周辺の路上は狙われ易い。
 盗難車を巡る市場は、部品販売を不法に行う業者が解体工場も所有という従来のやり方が、盗み役と解体、本体や部品の転売などに分業化。犯罪根絶には警察と市役所、検察の連係プレーが不可欠となっている。
 また、チエテ川では27日から川底の車体回収作業が行われ、初日は200台分の車(全体または一部)回収と28日にグローボ局が報道。不法な部品販売が横行している証拠となる車体数は当初予想の20台を大きく上回り、28日以降も400台は回収される見込み。警察は車体番号などで所有者を特定する意向だが、判別不能なほど傷んだものもあるという。