ニッケイ新聞 2012年3月29日付け
景気刺激策の一環としてのSelic(政策基本金利)切り下げが続く中、貸付金利は2カ月連続で増えていることが明らかとなった。28日付伯字紙が報じている。
中央銀行が27日に発表したデータによると、銀行で融資を受ける場合の貸付金利の平均は、1月の年38%が2月は38・1%に上昇。金利の高騰が目立つのは個人融資で、2月には年45・4%に達したものもあった。3月の貸付金利は、15日の時点で、昨年9月以降最高の45・4%に達している。
また、中銀が同時に発表したデータによると、個人融資の代表である自動車ローンの返済の遅れが過去最大になっている。返済が90日以上遅れた債務不履行は、2月の時点で全体の5・52%。これは中銀が2000年に調査を開始して以来最大で、11年2月の2倍にあたる。これは車の販売を増やそうとした政府が、2010年に車のローン拡大を促し、貸付額を前年比49・1%上昇させた反動と見られている。
また、自動車ローンの返済遅延が増えたことで貸付金利が上昇、融資の審査も厳しくなったため、2月の新車販売は、前年同月比9%、前月比7%下落している。
自動車ローンなどの融資返済に遅れが目立ち始めると貸付金利が上がる例はこれまでも見られ、貸倒れ増加を恐れる銀行は、スプレッドと呼ばれるマージンを増やすことで収益確保を目指す。貸付金利として100レアル受け取った場合の銀行のマージンは現在78・85レアルで、1年前の71・23レアルから大幅に拡大している。中銀のトゥーリオ・マシエル経済部長は、債務不履行の増加で銀行がより慎重になり、マージンの拡大や審査基準を厳しくすることで自らの身を守ろうとしているとみている。
だが、マンテガ財務相は26日、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)の会議に出席した際、こうした銀行の姿勢は「的外れだ」と批判した。これは27日に中銀がデータを発表する前の発言だが、今回のデータで、財務相の不満はますます助長されそうだ。
一方、民間銀行の慎重姿勢と債務不履行の増加を懸念しているのは中央銀行も同じで、中銀は5月から、これまで5000レアル以上の融資に求めていた利用者の詳細な情報の提出基準を、1000レアル以上に引き下げる。これは個人や中小企業への融資に関する情報も把握することで、債務不履行の増加を防ぎ、銀行側のマージン拡大を抑制するため。情報提出の基準引き下げで、全融資の96%の監査が可能になるという。