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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年4月4日付け

 ここ3年で約10万人のデカセギが帰伯したが、かなりの人数が日本での借金を踏み倒して帰ってきたと言われる。そのうちの一人、ある30過ぎの三世男性は2年ほど前に日本政府の帰国支援策で帰伯した▼地方都市で仕事をしたが長続きせずクビにされた。彼は幼少期に親に連れていかれ、小学校を卒業したので日本語はしゃべるが、読書きはできない。最近、日本食レストランを開こうと考え、SEBRAEに相談に行こうとも考えているが、経営の専門用語が出てくるとポ語も理解不能になる。どちらの言葉も中途半端だ▼彼の従兄弟もまた日本で育ち、危機直後に失業して帰伯した。ビリェッテ・ウニコの売り子をしていたが、休みは10日間に1日のみ、毎朝5時から午後1時まで働いてほぼ最賃しか貰っていなかった。でもクビになった▼新しい仕事を探しても、日伯どちらでも小学校すら卒業していない彼には、面接で履歴書を見せた瞬間に落とされる。夜勤のトラック荷卸しという低賃金労働にはありついたが「同じ肉体労働するなら日本の方がいい」と思い始めている▼この4月は帰国支援策開始からちょうど3年。帰国旅費の支援を受けて帰ってきた者は「そろそろ戻ろうか」と腰を浮かし始めている。でも片方は日本で踏み倒した借金が気になっている。「日本で新しい外国人管理シムテムができて、借金を踏み倒して逃げられないように出国時にチェックされるようになった」という在日ブラジル人間の噂を気にしている▼平気で借金を踏み倒すような日系人は、もう日本に送らない方がお互いの為だ。せっかく戻ってきたんだから、ここで人生を立て直して欲しい。(深)