ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | M・カルロ作戦=デモステネス氏倫理委へ=議席剥奪の是非を審議=事件全体はCPIで扱う=与野党共に痛み分けか

M・カルロ作戦=デモステネス氏倫理委へ=議席剥奪の是非を審議=事件全体はCPIで扱う=与野党共に痛み分けか

ニッケイ新聞 2012年4月13日付け

 【既報関連】連邦警察のモンテ・カルロ作戦で、賭博容疑の企業家〃カショエイラ〃氏とその周辺の捜査が進み、汚職追及の急先鋒だったデモステネス・トーレス上議は倫理委員会、カショエイラ絡みの事件全体は新設の議会審議委員会(CPI)で審議される事になったと11日付伯字紙が報じた。

 ゴイアス州の検察官から政治家に転身、汚職追及の急先鋒と自他共に認めていたデモステネス上議が、汚れた金の受取人だったという事実は政界に波紋を呼び、同上議の辞任も囁かれていたが、上院の倫理委員会が10日に同上議の汚職疑惑を調査する事を決めた。
 倫理委員会が調査を始めると決めた事で、同上議には辞任の道が閉ざされた上、現在の任期終了から8年間は選挙への出馬も禁じられる。
 民主党(DEM)員で汚職には常に断固とした態度をとってきた同上議は、〃カルリーニョス・カショエイラ〃の通称で知られるカルロス・アウグスト・デ・アウメイダ・ラモス容疑者から不正な金などを受け取っていた事が判明し、DEMを離脱したが、カショエイラ氏やその周辺の人物とやり取りしていたのはデモステネス氏だけではない事が次々に判明している。
 12日付伯字紙に出てくるのは、与党側が、労働者党(PT)のアギネロ・ケイロス連邦直轄区知事、ルーベンス・オトニ下議他、ブラジル労働党(PTB)ジャヴァイル・アランテス下議、進歩党(PP)サンデス・ジュニオル下議。野党は、デモステネス上議の他、民主社会党(PSDB)マルコニ・ペリロ・ゴイアス州知事とカルロス・アウベルト・レレイア下議、社会大衆党(PPS)ステファン・ネルセシアン下議など。
 盗聴記録から明らかになった名前には、大統領府職員や運輸省輸送インフラ局(Dnit)、経済活性化計画の大型工事を数多く請け負っているデルタ・コンストルソンエス社などもあり、ゴイアス州の主要政治家はみなカショエイラと面識があるともいわれる。
 〃カショエイラ〃の通称は祖父や父が住んでいたミナス州に滝があったために付いたもので、父がやっていた賭博場を幼い時から手伝い、合法、非合法の賭け事を手がける一方、薬品や通信などの分野の会社を持つ企業家がラモス氏だ。
 表向きは企業家、裏では賭博士という人物にまつわる疑惑解明のためのCPI設置は、ルーラ前大統領の意向も汲んだというが、PTの大物も含む疑惑に、PTと民主運動党(PMDB)との間の軋轢再燃ともいう。
 前大統領としてはデモステネス上議やペリロ知事を叩くための設置推奨だったとようだが、与野党を巻き込む疑惑で双方痛み分けとなれば、追及が及び腰になり、どこまで真相が解明されるかに疑問も残りそうだ。