ニッケイ新聞 2012年4月14日付け
自動車工業会から、自動車用のローンが組めず、販売が低迷との苦情を受けたマンテガ財相が12日、民間銀行が融資枠を狭め、貸付金利を高く設定している事に苦言を呈し、民間銀行に協力する意思がないなら、公営銀行による低金利の融資を増やす事も辞さないとの姿勢を見せた。
12、13日付エスタード紙によると、自動車工業会(Anfavea)がギド・マンテガ財相に、銀行が融資枠を狭めているため、車が売れないと訴えたのは11日。12日にはマンテガ財相が、民間銀行は利ざやで稼ぐのを止めろと苦言を呈した。
自動車工業会の頭痛の種は、銀行の融資枠が減り、貸付審査が厳しくなれば、消費者がローンを使えず、販売も伸び悩む事。4月始めの10日間のバスやトラック込みの新車販売は7万6600台で、前月比で1・37%、昨年同月比で8・87%減少した。累積販売も、昨年同期の90万9300台を1・6%下回る89万5千台だ。
一方、製品が売れなければ、減収で雇用継続も難しくなる上、銀行の援助で行う車の展示即売会(フェイラ)も頻繁に開けなくなる。GM社の場合、週末にサンパウロ州サンカエタノ・ド・スルでの即売会が今年2回目。月1度のペースだった10年の半分だ。昨年はこの時期までに4〜6回の即売市を計画したのに、今年はゼロというイベント会社もあるという。
一方、銀行側は、消費者が金を返してくれなければ、新しい貸付を渋るのは当然と釈明。90日以上返済が遅れる債務不履行は2月の時点で5・5%。12カ月間で2・7%ポイント増えており、保証がなければ融資枠は増やせないし、返済遅れや踏倒しによる損失の埋め合わせに貸付金利も引上げたという。
一方、この説明で納得できないのは、景気刺激のために、政策基本金利引下げなどの処置を講じている政府の経済スタッフで、民間銀行が年9・75%の政策金利と年80%近いものも出てきた貸付金利の差で稼ごうとすれば、消費や投資に水を差し、年5%の成長目標も達成不可能と厳しい批判の声を上げた。
マンテガ財相はまた、公営銀行が貸付金利引下げなどを行っても民間銀行が同調しないなら、09年同様、公営銀行の融資枠を拡大し、低金利の貸付を行わせる事も示唆した上、自動車メーカーが持つ銀行関係者との会合も行った。
これを受け、HSBCは12日夜、民間銀行としては初の貸付金利の引下げを発表。個人融資の最低金利を月2・45%から1・99%、車購入用も1・48%を0・98%に引き下げた。同行の場合、3月末の個人融資の金利は月4・33%、年66・31%に達していたが、それでも94行中64番目。車購入用は月1・65%、年21・7%で、48行中9番目だった。