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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年4月14日付け

 海自のイージス艦が3隻も出動し、沖縄の宮古島には誘導弾パトリオット(PAC3)を配備と大騒ぎだったが、北朝鮮が発射したミサイルは、韓国の海域上空で空中分解し、黄海に多数の破片が落下したそうだ。金正恩氏の第一書記などを祝福するための長距離弾道ミサイルは見事な失敗であり、日本を始めアメリカなどは胸を撫で下ろしたけれども、さて—金正恩氏の威厳は、いったいどうなるのか▼それにしても、米軍の情報把握の能力は高い。警戒衛星と海上配備のレーダーが、ミサイルを発射するとこれを即時にキャッチし、高度120キロで爆発の状況をつかみ、「失敗」との見方を伝えたのは、さすがとしかいいようがない。これにひきかえ日本は、駄目を三つも重ねるような大失態を演じたのは、これはもう恥辱でしかない▼北朝鮮がミサイルを発射したのは13日午前7時38分。90秒ほど飛行し破裂したのだが、東京の防衛省は、これから30分後になっても防衛省は「確認していない」とうろうろするばかりでは、とてものほどに日本の防衛を任せてはおけない。田中直紀防衛相の記者質問への回答も、あいまいなものであり、きちんとした情報をもっていなかったのは明らかである▼あの大東亜戦争でも、日本はアメリカとの諜報戦で完敗し、秘密情報も米軍に解読されたりしたが、これと同じことを今も繰り返しているのは、なんとも情ない。自衛隊が北朝鮮や中国の軍事力増強を脅威とするのはけっこうながら、それよりももっと基本的な気構えと情報戦略をしっかりと身につけることが先決ではないのか。(遯)