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サンパウロ市周辺の鉄道利用者増える=1年でカンピーナス市分=15号線はヅットラまで=全体見渡す計画の欠如が課題

ニッケイ新聞 2012年4月18日付け

 サンパウロ市とその周辺の市をつなぐ地下鉄とパウリスタ都電公社(CPTM)では、3月の平日の平均利用者数が710万人を記録し、昨年同月より120万人も増加したと15日付エスタード紙が報じた。

 地下鉄とCPTMの利用者は、1年でサンパウロ州第2の都市であるカンピーナス市の人口を20万人上回る120万人も増え、ラッシュ時の混雑は日に日に激しくなっている。
 22市、89の駅をつなぐ鉄道の平日の平均利用者が710万人に達したのは、バスや地下鉄、CPTMの乗り継ぎに便宜を図るビリャッテ・ウニコの導入によるところが大きい。2011年から12年にかけては、地下鉄4号線の新駅開通なども影響。地下鉄とCPTMを無料で乗り継ぐ事が出来るルスやブラス、ピニェイロスの3駅では、乗り換え通路を歩くのも容易ではない。
 昨年3月から今年の3月までの12カ月間で増えた鉄道利用者の数は、リオ市の1日の鉄道利用者数とほぼ同じで、従来から使われている設備への負担は増すばかり。大サンパウロ市都市圏での経済活動の活性化と居住地のドーナツ化現象などの影響で通勤・通学距離が伸びている中、利用者の増加は止まりそうもない。
 鉄道利用者が1年で20%も増える中、施設の保守、近代化の必要性が急速に高まってきたのはCPTMで、今年1〜3月の故障件数は13件、ほぼ週1回の割りで、運行停止などが起きた事になる。昨年1年の故障件数は42件だった。
 事態を重く見たサンパウロ州政府とCPTMは3月から9号線の近代化に取り組んでいるが、CPTMの総延長数は、10号線ルス〜ブラス間や、8号線イタペヴィ市内のイタペヴィ〜アマドール・ブエノ間の運行停止により、1年で8・3キロ減ったにもかかわらず、利用者は増加し続けている。
 一方、地下鉄では、2013年以降、4号線の延長などで新駅開設が予定されており、利用者がまた急増する見込みだ。サンパウロ州メトロポリタン交通局では、2014年の鉄道利用者は920万人に達すると見ている。
 また、9日付エスタード紙によれば、地下鉄2号線のヴィラ・プルデンテ駅から先に延びる地下鉄15号線は、ヅットラ駅まで13・5キロの予定で、ヴィラ・プルデンテ駅からは、オルファナト、アグア・ラザ、アナリア・フランコ、ヴィラ・フォルモーザ、ギリェルメ・ジオルジ、ノヴァ・マンシェステル、アリカンドゥーヴァの各駅を経て、3号線のペーニャ駅に接続。その後は、ペーニャ・デ・フランサ、チクアチーラを経て、終点のヅットラ駅に到達する。
 専門家からは、サンパウロ市周辺の鉄道網の問題は、電力供給などの含む全体的な計画の欠如と指摘する声があり、つぎはぎ状態の市街化計画の欠点が、故障続発の間接的な原因ともなっている。