ニッケイ新聞 2012年4月19日付け
【既報関連】18日付ブラジルメディアによると、連邦警察のモンテ・カルロ作戦で捕まった、賭博士のカルロス・アウグスト・ラモスことカルリーニョ・カショエイラ容疑者を巡る疑惑に関する議会調査委員会(CPI)発足への動きが本格化し、23日から始動となりそうだ。
デモステネス上議に関する倫理委員会の調査とは別に、カショエイラ容疑者と政治家や企業などが絡む汚職疑惑について調査するCPIは、上下院から選ばれた30人の議員によって成り立つ。
CPI設置は10日に決まったが、かつての政敵への報復を狙うルーラ前大統領と、CPIの対象が広範囲にわたれば政局運営に支障が出る事を懸念するジウマ大統領の意向がかみ合わず、12日にジウマ大統領がルーラ氏に収拾協力を要請。始動への動きは一時鈍ったが、最終的にはCPIの設置が容認された。
連警の盗聴捜査で判明した名前は、民主党(DEM)に所属していて現無所属のデモステネス上議や、民主社会党(PSDB)のマルコニ・ペリロ・ゴイアス州知事、労働者党(PT)のアギネロ・ケイロス連邦直轄区知事など、与野党の大物政治家に、大統領府職員や運輸省輸送インフラ局(Dnit)、経済活性化計画の大型工事を数多く請け負う建設大手のデルタ・コンストルソンエス社の幹部などだ。
カショエイラ容疑者が逮捕された2月末以降、ブラジルメディアには、同容疑者の名前が連日登場。最近はデルタ社の名前も引きもきらず、全国24州と連邦直轄区での建設や清掃など、公共資金の動きは巨大なものだ。
15日付フォーリャ紙によれば、00年以降、リオ州政府がデルタ社に払った金は、建設関係だけで15億レアル。連邦政府との関係では、03年に無競売の国道改修工事を受注以降、PAC工事などを次々に引き受けており、連邦政府の支払額は、03年の3500万レアルが11年は8億6240万レアルと2千%以上増えている。
デルタ社社長が「3千万レアルも掴ませれば競売は楽勝さ」と話した部分も公開されたが、同社の場合、入札額を低く抑えて落札し、契約後に金額の見直しを求めるというやり口が多く、〃潜水夫〃の異名まである。
一方、15日付フォーリャ紙によれば、デルタ社が架空名義の口座に振り込んだ金はカショエイラ容疑者の部下が引き出し、10年にはPTや民主運動党(PMDB)の選挙献金として850万レアルが送られた。
CPIの調査対象はデモステネス上議と企業家らに限定される可能性が強いが、国会では18日もCPI設置に賛同する議員らの署名活動が続いており、19日に設置を宣言。各党が選んだ上下院15名ずつ計30人の委員が出揃い、実際の調査が始まるのは23日からと見られている。