ニッケイ新聞 2012年4月19日付け
「Espirito Brasileiro」(伯魂)との命名は絶妙だ。若松如空筆のラベルもいい雰囲気を醸し出す。ポルトガル人、黒人、インディオというブラジル文化3大源流の一つ、インディオの主食マンジョッカで作った珍しい焼酎(蒸留酒)だ。
マンジョッカは煮て良し、揚げて良し、乾燥粉末ファリンニャとして油ご飯にかけても良し、デザート風にタピオカ、サグーにもできる。ブラジル人の食文化を支えるソウルフード(魂の食物)に違いない。
MNプロポリス社(松田典仁会長)=モジ市=では8年前、その多様な活用法にスピリッツ(蒸留酒)を加えた。モジ秋祭りの同店頭をひやかすと、なんと「古酒」が並んでいた。社の方針でまったく宣伝を打っていないとか。
「8年間、樫の樽で寝かせましたから、香りが出て、味もまろやか」と何事もないかのように松田会長はいう。かつてピンガを作る日系酒造は幾つかあったが、マンジョッカ焼酎は後にも先にもこれだけ。日本移民が作った「ブラジルの古い魂」はいかが。(深)
写真=古い〃新〃製品の古酒を手に持つ松田会長