ニッケイ新聞 2012年4月24日付け
【既報関連】連邦警察のモンテ・カルロ作戦で、賭博士のカルロス・アウグスト・ラモスことカルリーニョ・カショエイラ容疑者に絡む汚職疑惑が表面化した事で、連邦政府が、経済活性化計画(PAC)最大の請負業者であるデルタ・コンストルソンエス社との契約を禁ずる意向を固めたと21日付エスタード紙が報じた。
カショエイラ容疑者を巡る疑惑に関する報道が連日のように伯字紙紙上をにぎわす中、並行して繰り返される名の一つが〃デルタ〃で、一連の事件の事は〃カショエイラゲート〃、デルタ社による政治献金などの金の動きには〃デルタドゥート〃という表現まで使われ始めている。
19日に開設が宣言され、25日に最初の会合が持たれる予定の議会審議委員会(CPI)が、カショエイラ容疑者やデルタ社の周辺を洗いざらい調査しようとする事は必至で、19日付フォーリャ紙には、このままでは会社は破産と嘆く、デルタ社のフェルナンド・カヴェンディッシュ社長の声も掲載された。
同社長は、これだけマスコミが騒げば、銀行が融資を差し止めたりするのは当然で、公共機関との契約も破棄されるだろうと予想していたが、その言葉が現実となったのは、リオ州が契約破棄の意向表明という19日付伯字紙の記事や、21日エスタード紙の連邦政府の新規契約禁止などだ。
ジウマ大統領がルーラ政権の官房長官であった時に打ち出されたPACは、その後も新計画が発表されるなど、ジウマ大統領にとっての看板政策そのもの。それだけに、国道の改修工事など、大口事業を多数請け負っているデルタ社を、そっくり切り捨てる事は不可能とみられるが、少なくとも新規契約は結ばない姿勢を示したのが20日に行われた発表だった。
PACにおけるデルタ社の実績は2011年だけで8億8440万レアルを受け取ったという数字からも明らかだが、その一方、同社が請け負った仕事は、入札額が底値の16%引きと通常の倍近い割り引き価格である一方で経費の見直しが多く、国庫庁では、数年前から水増し請求などの疑いも持っている。
一方、デルタ社との契約見直しなどに不安を覚えている人物の一人は、スポーツ相のアウド・レベロ氏。2014年のW杯会場であるリオのマラカナンやミナス州のミネイロンの工事にも関わっている同社がこの時期に撤退すれば、遅れが指摘されている工事が更に遅れるからだが、マラカナンの工事では、銀行からの融資が受けられなかったデルタ社が経費負担分を供出できない事が既に2度起きており、撤退も避けられないとの見通しも出てきている。
昨年の交通省とその傘下の輸送インフラ局(Dnit)を巡る汚職の表面化でも生き延びたデルタ社が、再び大きく揺すぶられている。