ニッケイ新聞 2012年4月25日付け
サンパウロ市地下鉄公団(メトロ)が地下鉄17号線(金色)の建設計画を発表したが、最高時速80キロでモノレールを運行させ、区間の一部は6階建てビルに相当する地上18・5メートルに上るという案に、「該当地域の不動産の価値を下げる」などと批判の声が出ている。24日付エスタード紙が報じた。
1号線(青色)のジャバクアラ駅から終点のサンパウロ=モルンビー駅をつなぐ17号線の走行距離は17・9キロメートル。この間に18駅設置される予定で、コンゴーニャス空港にも直接アクセスが可能になる。高さ18・5メートルの地点を走るのは、マルジナル・ド・ピニェイロスのモルンビー橋をまたがる区間だ。
モルンビー駅からジャバクアラ駅までは、モルンビーのスタジアムや墓地を経てピニェイロス川を横切り、ピニェイロス川に架かるオクタヴィオ・フリアス・デ・オリヴェイラ橋に続く進入路の下を抜けるほか、サント・アマーロ大通りとヴェレアドール・ジョゼ・ジニス大通りの交差地点に設けた高架道の上も通過する。
モノレールが通過する区間にはカンポ・ベロ、ブルックリン、ジャルジン・アエロポルトの各区も含まれるが、この辺りは200万レアル以上の値が付けられた高級不動産販売の激戦区。同線が開通すれば、様々なデメリットから価格の低下が生じる可能性もある。
4月1日から開始された建設工事のため、ジョルナリスタ・ロベルト・マリーニョ大通りはマルジナル・ド・ピニェイロス方面が400キロほど通行止めとなっている。また、17号線沿線のモルンビー地区とジャバクアラ地区の不動産110軒は工事のために接収されることになる。
サンパウロ州政府は、2014年のW杯のために来聖する観光客に対応することが出来るよう、コンゴーニャス空港からパウリスタ都電公社(CPTM)のモルンビー駅をつなぐ区間7・7キロを2014年6月から開通させる予定だ。
一方、建築家で都市計画の専門家のカズオ・ナカノ氏は、景観への影響よりその機能性を問題視している。同氏によれば、モノレールがあるのは空港内など小さな区域が多く、都市空間にはまずみられないという。
「観光客の増加が見込まれる中、収容能力がより小さいモノレールでどのように対応するのか。既にメトロやCPTMで多くの問題に直面しているのに、モノレールでそれが起こらないはずがない」と指摘している。