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サンパウロ州で殺人事件増加=3月のサンパウロ市は約8割増=ここ10年で大きく減少も

ニッケイ新聞 2012年4月27日付け

 サンパウロ市ならびにサンパウロ州での殺人事件の件数が今年に入って上昇していることがわかった。26日付伯字紙が報じている。
 保安局が25日に発表したところによると、12年の第1四半期における、意図的な殺人の件数はサンパウロ市が257件、サンパウロ州全体が1073件と、前年同期比でそれぞれ14・2%、7・1%上昇した。州全体での殺人事件の被害者は1137人だった。
 殺人件数の上昇がとりわけ顕著なのは3月で、サンパウロ州での件数は393件と前年同月比で21%の上昇を示し、94件のサンパウロ市は79・25%と大幅な上昇となった。
 これにより、サンパウロ州での人口10万人における殺人事件の件数は10・16件となった。サンパウロ州では過去12年間、殺人事件は減少傾向にあり、1999年は10万人あたり35・27件だった発生率が2011年には9・9件まで下がっていた。
 殺人事件の発生率低下はサンパウロ州保安局の目標の一つで、第1四半期の殺人事件は、2002年以降、2009年と2010年を除いて発生率が低下。州政府の治安行政を評価する際の好意的な材料にもなっていたが、発生率が再び二桁台に乗ったことで、サンパウロ州は国連の定める〃殺人事件多発地域〃の対象となった。
 また、この他にも暴力犯罪は増加の傾向にあり、殺人未遂はサンパウロ市で19・06%、サンパウロ州で15・11%、強姦はそれぞれ13・91%と13・49%、傷害罪がそれぞれ15・18%と9・23%の上昇となっている。
 また、12年第1四半期の自動車強盗も、サンパウロ市で21・5%、サンパウロ州で16・88%、自動車窃盗もそれぞれ7・1%、3・6%上昇。サンパウロ市では1日123台の車が盗まれていることとなる。サンパウロ市での自動車強盗は南部と東部の貧しい地域、同窃盗は西部の中流家庭住宅地で目立っている。
 3月の殺人事件が増えたことについて市警のマルコス・カルネイロ・リマ長官は、3月の殺人事件数は70〜90件が通常で憂慮するような事態ではないとし、「むしろ11年3月にサンパウロ市での殺人事件数が53件まで下がったことの方が例外的だった」としている。また、今年3月の殺人事件の増加については、種々の要因がありえるが、猛暑日が続いて降水量が少なく、人々の摂取する酒の量が増えたことも一因ではないか、と憶測している。また、軍警のロベルヴァル・フランサ司令官は「それでもこの15年間、結果を出しつづけてきた」と語っている。
 だが、サンパウロ総合大学(USP)のカミラ・ヌーネス・ディアス社会学教授は、サンパウロ州の殺人事件がさほど多くないのは、大きな犯罪組織が一つしかなくギャング同士の抗争事件が少ないためで、サンパウロ州警察が効率的に機能しているとは判断しがたいとしている。