ニッケイ新聞 2012年5月8日付け
5〜6日にサンパウロ市恒例の文化イベント、「ヴィラーダ・クウトゥラル」が行われ、「食の市」でのパニックや、死者1人が出るなどの混乱の中でも400万人が詰め掛ける盛況となった。7日付伯字紙が報じている。
24時間ノンストップのコンサートなどで知られるVクウトゥラルだが、最も話題をさらったのは初登場の「食の市」だった。サンパウロ市中央部の高架道エレヴァード・コスタ・エ・シウヴァ(通称ミニョコン)で開かれた食の市は、4月30日に世界4位に選ばれたサンパウロ市のレストラン「D.O.M.」のアレックス・アタラはじめ、一流シェフたちが最大15レアルの安値で食事を提供するということで人が殺到。
6日午前0時からアタラのスタッフが振る舞ったガリニャーダは、500人の入りを見込んでいたのに5千人の列で、アタラ自身は屋台まで行かずに帰った。また、会場の入口を一つにするための封鎖が破られて整備が乱れ、本来整理券が取れるはずの人が取れないなどの混乱も起き、ミニョコンは「ガリニャーダが欲しい!」コールに包まれた。その他の時間帯には停電や水不足などの問題も起きたという。
また、400万人の人の入りに対し、約5千人の軍警や市警備隊などを配備したが、ケンカや強盗、窃盗などが起き、1200人が事情聴取を受け、大人8人を逮捕、青少年16人が補導され、コカインの過剰摂取と見られる17歳少女の死亡事件も起きた。また、ジウマ大統領に森林法案への拒否権発動を求めるデモ隊も登場した。
だが、音楽ステージはおおむね盛況だった。サンジョアンの6日のロック・ステージでは、サンパウロ市を代表するロック・バンドのチタンスや米国の大物パンク・ロック・バンドのスーサイダル・テンデンシーズのショーで、興奮した観客がステージになだれ込むほどの盛り上がりを見せた。
一方、数日前に入場券売り切れの市立劇場では5日夜、元ムタンチスのリーダー、アルナルド・バプチスタがムタンチスや自身のソロ代表曲で観客を沸かせ、ジュヴェントゥーデ公園では、マリア・リタが6万人の観衆を前に「ボサノバの女王」と呼ばれた母エリス・レジーナの代表曲を披露し、喝采を浴びた。
また、伯字紙は、アフリカ音楽のシェウン・クティや米国のロック・バンド、マン・オア・アストロマンの公演に高い評価を下していた。
6日夜のジュリオ・プレステス広場には2万人が集まり、ジルベルト・ジルがMPBの大御所らしい貫禄で見事に今年のVクウトゥラルを締めくくった。