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麻薬密売=サンパウロ州では12年で4倍に=価格の下落などが原因か

ニッケイ新聞 2012年5月8日付け

 麻薬密売が2000年以降のサンパウロ州で最も増加した犯罪であることが判明した。7日付エスタード紙が報じている。
 2012年第1四半期に、サンパウロ州では麻薬密売の現行犯逮捕が1時間につき5件起きた。この数字は2000年の4倍に当たる数字となっている。
 また、同じくこの12年間に州警察に登録された事件のうち、麻薬の密売絡みは0・44%から1・38%と3倍になっている。また、麻薬の密売は州全域で増えており、12年前からの増加率は、サンパウロ市3・6倍、大サンパウロ市圏6倍、内陸部3・75倍となっている。
 また、麻薬密売による女性の逮捕者の増加も顕著で、00年には全体の2・42%であったところが12年には11・86%となっている。
 ジェツリオ・ヴァルガス大学治安問題調査員のグアラシー・ミンガルディ氏は、この結果は「麻薬密売者の逮捕数増加は警察の取締り強化によるだけではなく、麻薬の価格低下も原因」と分析している。警察によると、コカインの価格は少なくとも30%下がり、2000年にキロ1万〜1万2千レアルだった塊は7千〜8千レアルに下がり、重曹などを混ぜた末端製品は4千〜5千レアルが相場だという。
 また、刑務所の受刑者に占める麻薬密売者の割合も00年の22・76%から29・28%に増加。ペドロ・ジュリオッティ検察官は「麻薬常用者の多くは、借金を抱えているため麻薬の売買に手を出し易い。その意味では他の犯罪よりも根が深く、刑務所内まで問題を持ち込むことが多い」と語っている。
 また、逮捕者が増えている割に麻薬の押収量が増えていないこと、直接売買に携わる犯罪者は逮捕していても麻薬を供給する犯罪者を逮捕できていないなどの問題点を指摘する声もある。