ニッケイ新聞 2012年5月10日付け
2010年にゴミ処理法が発効となり、14年には全てのゴミを適正な場所に捨てるよう義務付けられたが、2011年のゴミは人口増加率の倍の勢いで増え、42%が不適切な場所に捨てられたと8日付ブラジルメディアが報じた。
ブラジル公共・特殊ゴミ清掃協会(Abrelpe)の報告によると、全国の回収ゴミ5550万トンの内、適正な場所に捨てられたのは58・06%の2330万トンのみだったという。
同協会の報告書は毎年出ており、ゴミの腐敗に伴って発生するガスや汚水対策が採られ、地下水汚染の有無を監視するなどの処理がなされる処理場に捨てられたゴミの割合は、10年の57・56%より少し改善したが、ゴミの総量が増えたため、不適切な場所に捨てられたゴミの量は10年より増えたという。
11年の場合、川に投げ込まれたりして回収されなかったゴミ640万トンを含むゴミの総量は、6193万6千トン。前年の6086万8千トン比1・8%増で、同時期の人口増加率の倍の伸びを記録した。
ゴミの増加には生活習慣の変化なども影響し、人口増加率以上の伸びが続けば、新法にあわせて申請されたゴミ処理場建設計画が実現しても、想定年数以下で処理能力を超える可能性が強い。
全国5565の自治体中、ゴミ回収が行われているのは58・6%で、再生資源ゴミなどに分別して回収している自治体は更に少ない。
ゴミ総量の48・9%に当たる1日9万7千トン(1人1・293キロ)を排出したのは南東伯。96・52%を回収し、72・2%を適切な場所に捨てたが、適切な施設のあるゴミ処理場がない自治体も51・5%の860市ある。
25・7%に当たる1日5万1千トン(1人1・3キロ)排出の北東伯は76・4%を回収。64・7%を適切な場所に捨てたが、適切な施設のあるゴミ処理場がない自治体は75%。
10・4%相当の2070トン排出の南伯は、1人当たりのゴミが0・887キロで最少。回収ゴミの70・3%を適切な場所に捨てたが、適切な施設を持つ処理場がない自治体も41%ある。
中西伯では8・1%の1日1万6千トン(1人1・25キロ)を排出。64・7%を適切な場所に捨てたが、適切な施設を持つ処理場がない自治体は67%。
北伯のゴミは6・9%に当たる1日1万3600トン(1人1・154キロ)で、35%を適正な場所に投棄。この割合は7・6%改善したが、適正な施設がある自治体は20%のみで、簡易処理施設さえない埋立地に35・5%を捨てた。
サンパウロ市北部のショッピングセンターがゴミの埋立地上に建てられ、ガス発生騒ぎが起きた事は記憶に新しいが、ゴミの量削減や再生資源ゴミの有効利用など、ゴミを巡る課題はまだ山積している。