ニッケイ新聞 2012年5月10日付け
ワールドカップの準備遅延の問題に対処するために、国際サッカー連盟(FIFA)とブラジル政府は、ブラジルの現地実行委員会(COL)への政府介入を決めた。9日付伯字紙が報じている。
コンフェデレーション杯まで1年、W杯まで2年を残すのみとなった8日、FIFAはスイスのチューリッヒでアルド・レベロ・スポーツ相を招いて会議を行い、COLに政府の代表が参加することを発表した。
COLに主催国の政府が介入するのは2010年の南アフリカ共和国大会についで史上2度目となるが、政情不安定などでCOLに最初から政府が参加していた南アとは異なり、今回はブラジルの描いた計画の杜撰さが招いたものとなった。
3月に「ブラジルの尻を蹴る」発言で物議を醸したジェローム・ヴァルケFIFA事務局長は、「誰だって最初に過ちを犯し、後で正しい決定を下すことがある。何もしないよりは遅れる方がまだマシだ」と語っている。8日の会議後、W杯までのFIFAとブラジルの窓口はヴァルケ事務局長とレベロ・スポーツ相が務めることも発表された。
また、この決定は、政府の介入を拒否し、黒い疑惑もあいまって「W杯を私物化している」とまで揶揄されたブラジルサッカー連盟(CBF)のリカルド・テイシェイラ前会長の体制の終わりを改めて象徴し、テイシェイラ氏辞任後のCBFの弱体化を意味するものとなった。
また、COLへの政府からの代表には、大学教授でスポーツ省事務局長でもあるルイス・フェルナンデス氏が選ばれた。フェルナンデス氏は「私たちはもういろいろハッキリと決めないといけない段階に入っているが、一致団結してより最高のレベルにしていきたい」と抱負を語った。また、FIFA側からは、FIFAへのブラジルと南米サッカー連盟代表で、サンパウロ州サッカー連盟会長でもあるマルコ・ポロ・デ・ネロ氏もCOLに加わることが発表された。
ブラジル政府は、国中に散らばる12の試合会場に応援団を円滑に運ぶために空軍の飛行場を使うことが必要となると考えており、レベロ・スポーツ相は「この件はすでに検討中で、国防省の認可を待つのみだ」と語った。
また、12の試合会場のうち、12年初めまでに完成しそうなスタジアムが三つしかないことやW杯法案審議で論議の的となっている酒類の発売をはじめ、チケット販売や交通手段、ホテルの収容人数確保の問題など、解決が必要なことは山積みとなっている。