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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月10日付け

 新聞記者嫌いは、師匠である白足袋宰相の吉田茂氏譲りかもしれないが、あのノーベル平和賞に輝く佐藤栄作首相も皇室尊崇派であり、晩年になると「宮内庁長官になりたい」と語ったのエピソードがある。昔の宮内大臣への憧憬のようなものがあったらしいのだが、今の羽毛田信吾宮内庁長官も「女性宮家」や「天皇の火葬」をと忙中忙を極めている▼「女性宮家」の話は小泉純一郎内閣のときであり、このときも有識者会議が設置され議論が闘わされたが、秋篠宮家に悠仁親王がご誕生になり、三笠宮寛仁さまの論文もあり宮内庁長官の提案も立ち消えになってしまった。だが—天皇陛下の後継者の問題は今も厳しく、何らかの方策を考え出す必要がある▼そんな背景もあり羽毛田長官は、再び「女性宮家」を持ち出したのだろうが、これは皇室の歴史や「天皇は男系」の伝統もあり、軽軽しく取り扱うのは避けたい。これまでにも8人の識者から意見を聴取しているが、賛成が5人、反対は3人と真っ二つに分かれる。遯生としては桜井よしこ氏と日大の百地章教授らの反対論に与したいし、やはり皇室2000年の伝統に従い「女系天皇」は避けるのが筋ではなかろうか▼天皇陛下の火葬と皇后様との合葬や陵墓の小型化は支持したい。壬申の乱で勝利した天武天皇の皇后であった持統天皇は、皇族で初めて荼毘(火葬)に付され、奈良の明日香村の天武陵墓に合葬されている。江戸初期から昭和天皇なども土葬となったが、過去を遡れば仏教の伝来による影響が強く火葬が多いのだし、今上陛下が望まれている火葬を真剣に検討して欲しい。(遯)