ニッケイ新聞 2012年5月12日付け
2002年1月に起きたセウソ・ダニエル・サントアンドレ市長(労働者党:PT)の誘拐殺人事件に関与した3人の被告の陪審裁判が10日に行われ、18〜24年の判決が下された。11日付伯字紙が報じている。
この事件は、最初に捜査を行った市警が身代金目的の一般的な誘拐殺人事件と結論付けた後、検察が汚職に絡んだ政治的な事件と位置づけ、その見解の違いで注目を集めていた。
検察は、市長の友人の企業家で警護役だったセルジオ・ゴメス・ダ・シウヴァ被告(通称ソンブラ)が、その立場を利用して汚職を行い、市の予算や市内の業者からまきあげた金を、ルーラ氏を大統領候補に立てたPTに選挙資金の一部として送っていたことに気づいた市長が、汚職告発に乗り出しはじめたために殺されたと主張。誘拐殺人の首謀者とされるソンブラは、市長の誘拐時も現場に居合わせていた。
陪審裁判はサンパウロ州イタペセリカ・ダ・セーラの裁判所で12時間に渡って行われ、陪審員は、この事件はソンブラが企てた政治事件で、3人の被告はソンブラに組する暗殺グループの構成員とする検察側の主張に同意。イヴァン・ロドリゲス・ダ・シウヴァ(通称モンストロ)、ジョゼ・エジソン・ダ・シウヴァ、ロドルフォ・ロドリゴ・ドス・サントス・オリヴェイラ(通称ボジーニョ)の3人の被告に、24年、20年、18年の懲役刑を言い渡した。
3人の被告は、ソンブラも、彼らを雇い、後に刑務所内で死んだディオニジオ・デ・アキノ・セヴェロも知らないと証言していたが、「3人の被告が電話で行った会話はソンブラがたてた計画に加担したことを示している」という検察側の主張が認められた。
この事件をめぐる裁判は、2010年11月18日に懲役18年の判決を受けたマルコス・ロベルト・ビスポ・ドス・サントス被告以来で、裁判に出席した弟のブルーノ・ダニエル氏は「10年戦って、待ってきた甲斐があった。(事件が完全に解決するまで)この先も何年かかろうが待ちつづける」と喜びのコメントを残した。
これで逮捕者7人のうちの4人に判決が下ったことになり、イタマル・メッシアス・シウヴァ・ドス・サントス被告とエルシド・オリヴェイラ・ブリート被告の裁判は8月16日に行われる。
ソンブラに関する裁判は、本人が、検察の捜査を無効にするよう最高裁に訴えたために、日程も決まっていないが、今回の裁判を担当したマルシオ・フリッジ検事は、「今回の判決は来るべきソンブラの裁判にも大きな影響を与えるはずだ」と語っている。