ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | FHCに社会学ノーベル賞=「従属理論」をブラジルで証明

FHCに社会学ノーベル賞=「従属理論」をブラジルで証明

ニッケイ新聞 2012年5月15日付け

 フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領が、ブラジル人としては史上初の「社会学のノーベル賞」と呼ぶべきクルーギ賞を受賞することが決まった。14日付伯字紙が報じている。
 クルーギ賞は、米国議会図書館が2年に1度、歴史や社会学、政治学、人類学などの学問に身を捧げ、大きな功績を残した人に授与する賞で、その分野でのノーベル賞にあたると目されている。
 元大統領は共著も含めて23冊の著作と116の論文を書いた社会学者で、受賞について、「いただけるとの期待もしていなかった。死ぬ前に受賞できてよかった」と冗談めかしつつ、「著書に書いたことと政治での活動の両方を評価してくれた」と喜びを語った。
 「レアル・プランの父」とも呼ばれる元大統領は、受賞の決め手となったのは、発展途上国の発展のためには先進国への従属関係を切らなければならないとする「従属理論」であろうと分析し、「提唱した当時はこれまでの学説(発展途上国は先進国が発展してはじめて発展する)の逆を行くものだったが、今では正しいことが証明された」と語り、「我々はブラジル経済を安定させることができたし、景気減退も起こしていない」と語っている。
 だが、元大統領は自身の専門を社会学だけだと思っておらず、経済学も政治科学も学んだとしている。「経済が良くなれば、教育や保険、福祉、最低給与のことが心配になる。発展とは常にあらゆるものを含んで考えなければならないものだ」と語っている。
 授賞式は7月10日にワシントンDCで行われるが、元大統領は賞金の100万米ドルに驚きを隠せず、「そんな大金をもらえるなんて想像できないし手にしたこともない。まずはそれから受け取りたいね」と語った。