ニッケイ新聞 2012年5月16日付け
サンパウロ市建設許可課(Aprov)元職員が、2005年以降、106件もの不動産物件を取得していたことが判明、職権を濫用して不法入札を助けた疑いなどで検察局が捜査に乗り出した。14〜15日付伯字紙が報じている。
14日付フォーリャ紙によると、ウッサイン・アレフ・サアブ元Aprov係長(67)は、退職金を含む市役所からの収入9400レアルと家賃収入などで月収2万レアルと申告しているが、その資産は追加の駐車スペース24台分を含む118件の物件で総額5千万レアル以上となる。うち106件は在職中の05年1月以降に得たものだという。また、不動産はコンゴーニャス空港付近やイビラプエラ公園前、ヴィラ・マダレーナなどの人気地区の高級物件が目立っている。
この事実は、カサビ市長宛に匿名で書かれた告発により知られるところとなり、事態を重く見た市長が市監察局に調査を依頼。3月から調査が始まった。それを受け、アレフ氏は4月に同職を辞任した。不動産関係の汚職は州検察局も11年から捜査中だが、同氏は不正関与を否定している。
Aprovは500平米以上の建物全ての建築許可などを取り仕切る部署で、市監察局が特に注目したのは、2009年4月にラッパのコロリアーノ大通りの物件を購入したアレフ氏が、その1カ月後、その物件を建設した会社にラポーゾ・タヴァレス地区にあるドス・ピエモンテゼス大通りの物件の建設許可を出したことだった。
また、市長への告発文の主は、アレフ氏が現金か物件を賄賂として受け取ることで建築許可が得やすくなる仕組みになっているという。この一件には、同氏の補佐官と、サンパウロ市の環境と持続可能な開発審議会(Cades)メンバーでAprov元係長の2人が絡んでいるとされ、建設許可関連では昨年だけで7千万レアルの横領があったと見られている。
また、15日付フォーリャ紙によると、アレフ氏が2008年に24万2千レアルで購入した市南部のシャッカラ・フローラの212平米の物件は、元の持ち主が3年前に約5倍にあたる120万レアルで買った物件だったことも判明している。物件を売ったダヴィド・カルロス・アントニオ氏は、「08年のときは市場価値がなくなっていた。何もアレフ氏だけに安く売ったわけではない」と語っている。
カサビ市長は「横領はいつでも起こりうることだが、見つけてちゃんと処罰することが大切だ」と語り、アレフ氏の後任には、市長の大学時代からの友人であるアウフォンソ・オルランジ・ネット氏を据えた。