ニッケイ新聞 2012年5月17日付け
イタリア・ノバラ市で今月25日から開催される『第15回剣道世界選手権』に、男女ブラジル代表総勢16人が出場する。3千以上のブラジル剣士の中から選出された精鋭たちは、20日に戦地へと旅立つ。男子は25日と27日、女子は26日に個人戦と団体戦を戦う。山本八士郎団長(ブラジル剣道連盟副会長)は「過去の実績を見ればブラジルは日本、韓国に次ぐ3番手の存在。それでも最高の結果を残すために精一杯戦う」とコロニアの応援を呼びかけている。
15大会連続の出場となる男子は、突出した選手は不在ながらも一体感は抜群。ほぼ同じメンバーで臨んだ前回大会の団体戦では3位に輝いた。より円熟味の増した今回のチームにはさらに大きな期待がかかる。
男子と同じく前回団体3位の女子は、山本団長が「天性の才を持つ」と絶賛する前回個人3位の高階エリゼッチ選手と、メンバー最年長で世界2位に輝いた経験もある尾中エルザミ選手の2人が大黒柱。チームの信条である「強く美しい剣道」で上位進出を目指す。
大会の本命は、過去14大会で13度の優勝を誇る日本と、06年にその連続優勝記録に土をつけた韓国の2カ国。さらに、アメリカ、台湾、フランスといったライバルとの苦戦も予想されるが「目標は3位入賞だが、隙あらば日韓を食ってやりたい」との蛯原忠男ブラジル剣道連盟会長の言葉は頼もしい。
3カ国ずつのグループで行われる予選で男子代表が激突するスイス代表には、海老原会長の長男である蛯原忠仁アレッシャンドレ氏と藤倉修平ウィリアム氏の元代表選手二人がコーチとして招聘されており、こちらの〃ブラジルダービー〃にも注目だ。
ここ10年で競技人口・レベルともに大きな向上を見せているブラジル剣道。前回大会を上回る、男子は27年ぶり、女子は12年ぶりの決勝進出を果たすことは出来るのか。さらにその先はいかに—。彼らの健闘を期待したい。