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サンパウロ市の露天商姿消す?=障害者の人権問題表面化

ニッケイ新聞 2012年5月23日付け

 カサビ市長が、サンパウロ市で露天商を営む人たちのライセンスを取り消し、1カ月以内の立退きを要求している。露天商には身体障害者も多く含まれている。21日付エスタード紙が報じている。
 市が、3月25日通りやプラッサ・ダ・セーなど、セントロで露天商を営む470人のライセンスを取り消し、1カ月以内の立退きを要求していることは、市の公報で明らかとなった。
 また、市西部のピニェイロスやラッパ、東部のサンミゲル・パウリスタで働く512人の露天商のライセンスも取り消されており、1千人近くが営業資格を失った。市は市内全域の露天商を排除する意向だ。
 露天商排除の理由は、露天商をなくすことで通りの空間を増やし、市民が快適な都市生活を送れるようにするためで、盗用品や海賊品などの販売防止対策ともしている。
 また、カサビ市長は、露天商を立退かせる替わりに、東部とセントロ、南部に大衆向けのショッピング・センターを作ることも発表したが、これらがいつまでに作られるかは決まっていない。
 露店商者たちは大衆向けショッピングの開設や移転についての相談を一切受けておらず、営業継続と障害者の権利保障のための訴訟を起こす構えで、サンミゲル・パウリスタの露天商200人は既に営業権を確保した。
 露天商には障害者が多く、セントロで立退き対象となった470人中270人が身体障害者。また、人生の大半を露天商で過ごしてきた文盲者も少なくはなく、人権問題の立場から、市の政策を問題視する声もある。
 サンパウロ市の露天商は19世紀来の長い歴史を持ち、オラーヴォ・セトゥーバル市長は1970年代、障害者は露天商となるよう積極的に斡旋した。