ニッケイ新聞 2012年5月25日付け
ブラジル政府が23日、14年ワールドカップ(W杯)に向けた101の事業中、工事完成は5%のみで、40%は未着工と発表したと24日付伯字紙が報じた。一方、ブタペストでは23日、国際サッカー連盟(FIFA)ブラッター会長が、ブラジルサッカー連盟(CBF)の内部変革が政府も加わった取組みを可能にしたと発言した。
政府が関わらないW杯などありえない—。23日のブラッター発言は、CBF元会長のリカルド・テイシェイラ氏への批判であり、準備を加速しなければならないブラジルへの後押しでもある。
ブラッター会長を始めとするFIFA理事達の懸念はブラジル側の準備の遅れで、ジェローム・バルク事務局長が「ブラジルの尻を蹴上げなければ」と発言した事は、世界中の話題となった。この発言については既に謝罪済みだが、W杯親善大使のペレも、準備の遅れを案じる発言をしている。
一方、23日にW杯関連事業の実態報告を行ったアウド・レベロ・スポーツ相らは、W杯まで2年余という時期になっても完結した事業は5%のみで、40%は、企画段階か入札中、着工待ちで未着工という現実にも、遅れてはいないと発言している。
4省の長による報告によれば、既に完結したのは空港関係5事業で、進行中の事業は、市内交通整備などの市街化26、空港関係13、港湾関係4にスタジアムの建設・改修を加えた55。入札中か着工待ちは市街化15などの26事業、企画中のものは市街化や空港整備など15事業で、未着工事業の予算は全予算271億レアル中100億レアルに相当する。
完成時期別では、13年末までに85%が完成する予定で、17の事業は14年の完成となる。
23日付伯字紙によれば、13年に行われるコンフェデレーションズ杯の会場(4〜6)の決定は11月に延ばされ、12月1日の組合せ抽選の場で正式に発表される。FIFAは同じ日に14年の会場も正式発表する意向で、工事の進捗状況次第で会場数が12以下に減る可能性もある。
4月25日現在の会場工事進捗率が50%を超えたのはセアラ62%、バイア56%、ミナス55%、連邦直轄区53%で、30%以下は、リオ・グランデ・ド・ノルテ22%、南大河20%、パラナ11%。
ブラッター氏は、ブラジルの準備の遅れは政府の積極的関与が欠けていたからで、CBFが新体制となり、現地組織委員会(LOC)に政府が関与するようになった今は状況が好転と発言し、CBFとLOCの委員長を兼任していたテイシェイラ氏を暗に批判した。
FIFAは来週、バルク事務局長をブラジルに派遣、スタジアムとインフラ両面の事業の現状を視察する事になっている。