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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月26日付け

 あの世界で1番背高のっぽの東京スカイツリーの人気は凄い。天皇陛下と皇后さまも見物なさったし、開業初日の展望台の入場券9千枚も完売。7月10日までの前売り券もほぼ満員と庶民の期待は膨らむばかりなのである。総工費650億円と—こちらもかなりの金額ながら、まあ,世界一の鉄塔なのだから工費などをケチってはいけない。それにしても、あの芝公園の東京タワーの建築費30億円に比べると、ちょっとばかり高価だ▼地上350メートルの展望台に上った人たちは雲間の絶景に「すごい」と絶句したそうだが、高さ450メートルの「天廊回廊(第2展望台)」は、峻険な山の頂に立つ仙人が眼下の眺望を見下ろすがごとくだし、しばし—呆然としたのではあるまいか。この鉄の芸術品を建設したのは大林組だが、社長だったかが「大林組は、この鉄塔を2千メートルの高さにする技術と工法を持っている」と語り世の人々を驚かせもした▼仏のエッフル塔よりも21メートル高い東京タワーを造るときには、鳶職人が60人超も地上200〜300メートルのところで曲芸師よろしく大活躍し話題になったけれども、今度の工事でも鉄骨の溶接には職人の手仕事が大きな実績を残し、この工法が耐震性を強くし、塔の軽量化に尽くした。ここでも職人芸が見事なばかりに生かされたのは、将に日本的な手の技の発揮と誇っていい▼大林組は先ごろ、高度9万6千kmに達する宇宙エレベーターを2050年に供用するの構想を公表しているが、これはもう—当方のような素人には唯々目を白黒するしかない。(遯)