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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月29日付け

 「遠山の金さん」の桜吹雪の見事さは、松方弘樹の時代物でよくご存知の通りだが、あれは髪を振り乱した女の生首だの証言もあるとかでどうもはっきりしない。遠山景元。通称は金四郎。遠山左衛門尉。天保の改革を進めた老中・水野忠邦の信任厚い南町奉行・鳥居耀蔵と対立した北町奉行であり、庶民派としての人情裁判が江戸っ子から好まれたが、入れ墨の話は芝居や講談の創作らしい▼若い頃は、遊び人だったらしく、町の暮らしや世情に詳しかったそうだが、あの頃の江戸で腕などに入れ墨をするのは島流しになった人や渡世人などであり、堅気の人は極めて少ない。これは今でも同じであり、「入れ墨大臣」もいたけれども、これは例外中の例外である。ところが近頃は、大阪市の職員らも、堂々と入れ墨をし、自慢しているそうだから仰天するしかない▼あの大阪の市長さんは、維新の会を引っ張る橋下徹さんであり、中々に強い。ちょっとやそっとの左翼かぶれなんかに負けてはいない。職員らの「入れ墨調査」は、かなり思い切った業務ながら、110人かの職員(れっきとした地方公務員である)が、背中や腹部などに立派な刺青があると答えたのだから—橋下市長ならずとも,腰を抜かしてしまう▼児童福祉施設に勤務する30代の男性職員が、子どもらに入れ墨をみせていた事実もわかった。しかも、この職員はボーナスの査定で高い評価を受けていたのだから—さすがの橋下市長も「厳しく対処」と言明しているが、こんな入れ墨集団を放置の前市長らの市政が正しかったとは思えないし、厳正処罰が正論ではないか。(遯)