ニッケイ新聞 2012年6月1日付け
「沖縄の人に我々の思いを忘れないでほしい」——。沖縄県が先月15日、本土復帰から40年を迎えるにあたり、ブラジルを代表して訪沖した沖縄県人会の与那嶺真次会長(62、三世)は前日14日、県庁敷地内に建つ『復帰記念』碑の修復作業を行なった。在伯沖縄協会(県人会の前身)の屋比久孟清会長らが尽力、75年に建てたものの老朽化が進んでいた。与那嶺会長は「ブラジルの若い世代に、復帰までの歴史を伝えていきたい」と話している。
現地の新聞にも大きく取り上げられた。「ブラジルから石碑が贈られたことを、今一度思い出してもらうのに良かったと思う」。先月29日に来社し、報告した与那嶺会長はしみじみとそう語った。
在伯県出身者は復帰への思いが強かったという。その思いを形にしたいと、南米からの慶祝団と共に75年の海洋博におとずれた屋比久会長らが一枚岩を探し、寄付を募り建立した。「平和豊かにとわに栄えゆく ふるさとの夜明けを讃えん」という一行で締めくくられた屋比久氏の詩も刻まれた。
しかし、長い年月で字も薄れ、埋め込まれたメノウが剥がれ落ちる状態だったことから、沖縄ブラジルネットワーク「アミーゴ会」の会長で、75年当時屋比久会長らを旅行社として受け入れた与那城昭広さんが、沖縄県人会に連絡していた。
与那嶺会長は関係者に見守られながら、ブラジルから持ち込んだ紫、黄緑など色とりどりのメノウ3キロを剥がれ落ちた部分に貼り付け、ペンキも塗り直した。清掃作業も行うなどし、先人の沖縄に対する思いを噛み締めたようだ。
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式典は15日午後4時から、政府と県の共催で宜野湾市のコンベンションセンターであり、野田佳彦首相、衆参両院議長、仲井真弘多知事をはじめ、県内の市町村長、企業や団体代表者ら約1200人が出席した。
ブラジル、ボリビア、亜国、ペルー、メキシコ、米ロサンゼルス、カナダ、ハワイ、フィリピンなどから県系コロニアの代表も招待され臨席した。
翌日16日、与那嶺会長は各国代表者とともに仲井真知事と面会。「沖縄県青年会館」でブラジル沖縄協会(西原篤一会長)の会員に講演も行った。