ニッケイ新聞 2012年6月2日付け
ルーラ前大統領(労働者党:PT)が5月31日、ジウマ大統領が出馬の意向を見せない場合との条件付ながら、「14年の大統領選への出馬の可能性はある」と語った。1日付伯字紙が報じている。
ルーラ氏は5月31日、STB局のテレビ番組「プログラマ・ド・ラチーニョ」に出演した。喉頭がん治療からの復帰後では初のインタビューで、声にかすれが見られたものの、二部構成に渡る計44分のインタビューをこなした。
このインタビューでは自身の病気のことやジウマ政権のこと、サンパウロ市市長選にPTから立候補予定のフェルナンド・ハダジ氏のことなどについて語ったが、番組の終了直前に司会のラチーニョが「もしジウマ大統領が14年の大統領選で再出馬しない場合、大統領選に立候補するつもりはあるか」と尋ねた。これに対しルーラ氏は、「それが起こりうるのは、ジウマが再選を希望しなかった場合のみだ。トゥッカーノ(PSDB:民主社会党)に政権を渡すわけにはいかないからな」と返答。だが、「14年にはジウマの影響力はより強大になる。私はジウマ再選のための選挙参謀だよ」と、あくまでジウマ大統領の再選が第一であることを強調した。
また、この番組にはハダジ氏も登場した。ルーラ氏はラチーニョにサンパウロ市市長選にハダジ氏をPTの候補として選んだことについて尋ねられると、「サンパウロ市には情熱を持った人が必要だ。私が大統領の頃から教育相として活躍するのを見てきたが、彼にはその情熱がある」と語った。ハダジ氏も、司会者の尋ねるままに、「サンパウロ市最大の問題だ」とする保健行政や、サンパウロ市の教育について語った。
ルーラ氏とハダジ氏のテレビでの発言について、サンパウロ州選挙検察官のペドロ・バルボーザ・ペレイラ・ネット氏は、「選挙前の宣伝行為に該当する」との見解を示した。同氏によると、処罰と決まれば、ハダジ氏、ルーラ氏、SBTの3者に最低5千レアルの罰金が課されるという。
またこの番組でルーラ氏は、最高裁(STF)のジルマル・メンデス判事にメンサロン事件の裁判の延期を求めた件についても質問を受けたが、「その件について話す気はない。もう既に文書で発表した通りだし、吹聴した人間が事実を証明すべきだ」とし、矛先をかわした。一方、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領は5月31日、滞在先の中国で、ルーラ氏のメンデス氏への圧力疑惑について「事実はよく知らないが、本当ならザルで太陽をさえぎろうとする(隠しようもないものを隠そうとする)行為だ」と語った。