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政府が放送法改定か?=増加する宗教番組に歯止め=議会からは強い反対の声

ニッケイ新聞 2012年6月5日付け

 ジウマ政権はテレビやラジオの放送時間帯の購入を禁じる法案の作成を希望し、それに対し宗教団体が難色を示している。3〜4日付フォーリャ紙が報じている。
 3日付同紙によると、政府はテレビやラジオを類似した業種が独占する傾向に歯止めをかけるべく、1962年に制定された放送法の改正に着手しているという。
 フォーリャ紙が入手した改正草案によると、最も大きな変化は放送時間の貸し出し禁止。現在は放送時間の貸し出しに法的な制限がなく、宗教や通信販売の番組の急増を生んでしまった。
 たとえば、バンデイランテス局では「神の加護国際教会」のR・R・ソアレス牧師が週2時間5分の番組を持っている。また、レッジ局では「神の力世界教会」のヴァルデミロ・サンチアゴ牧師が週に10時間30分の番組を持ち、さらに製薬会社のウルトラファルマにも4時間30分の自社製品の宣伝番組を持たせている。ガゼッタ局では通信販売のポリショップ社が週10時間の宣伝番組を持ち、プロテスタント教会の礼拝の様子を流すのに週26時間の番組を持たせている。
 改正案では、放送時間帯の貸し出しではなく、出来上がった番組を買い取って放送することが求められる。
 また、改正案では政治家がテレビ局やラジオ局の共同経営者になることは禁じない代わり、行政責任者や市民、司法団体の代表が選挙に影響を与えかねない番組を持つことは禁止する。
 また、民間放送局の放映権の取得方法も変更される。これまでは入札時に1%の抵当金を寄託し落札後2カ月以内に入札額の半分、プロジェクトが議会で承認されたら1年以内に残りを収めていたのに対し、入札時の抵当金を5%に引き上げ、落札後2カ月以内に残額を一括払いさせる。プロジェクトが議会にはかられるのはその後で、テレビ局の認可も通信省から大統領の管轄となる。
 また、テレビ広告のシステムも変わる。テレビ局は放送時間の25%までを広告に提供することが認められているが、今後は、デジタル・テレビの視聴者が広告の放映中にインターネットに接続し、テレビ画面上で商品を購入した場合のインターネット接続料も徴収できるようにする。
 改正案は一般公開し、賛否両論を広く問う予定だが、議会からはすでに反対の声が出ている。民主社会党(PSDB)のジョアン・カンポス下院議員は、「視聴者から苦情があるわけでもないのにばかげている」とし、共和党(PR)のリンコウン・ポルテラ下院議員も、「政府は何百万人もの宗教の信者を敵に回したいのか」と語っている。現在、下院には513人中66人、上院には81人中3人の福音派議員が存在する。