ニッケイ新聞 2012年6月19日付け
09年12月にサンパウロ市の地下鉄コリンチャンス・イタケーラ駅で保護されたハイチの少年に、同国政府からの旅券が発行され、母との再会が近づいてきたと17日付フォーリャ紙が報じた。
サンパウロ市の施設に居る13歳の少年の母親は、仏領ギアナに不法入国後、現地で再婚。母親はコヨーテと呼ばれる国境越えガイドに金を払い、少年を連れてくるよう頼んだが、少年をブラジルに潜入させた後に新たに要求された金が払えなかったため、コヨーテは少年をサンパウロ市の駅に放置した。
サンパウロ市の裁判官は少年を母親の元に送るよう判決を下したが、旅券もない少年にはフランスからのビザが出ない。ハイチ側が身元を確認する書類がなく旅券は発行不能と返答後にブラジルが出そうとした外国人向け旅券は、フランスが正規の旅券ではないと拒否していた。
ブラジル滞在中に母国語を忘れ、15日毎の母とのビデオ対談も通訳が必要となった少年への旅券発行はハイチ政府が先週通達。近日中にハイチのブラジル大使館に届く予定で、届き次第、フランスのビザ取得手続きに入る。
本人達を空喜びさせない様、旅券の事は少年にも母親にも伏せられているが、再会の日は近いと関係者は見ている。