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サンパウロ市副市長候補=エルンジーナ氏が撤回=PTのマルフ氏との同盟嫌い=ハダジ氏は理解示すも落胆=副市長候補の行方は?

ニッケイ新聞 2012年6月21日付け

 パウロ・マルフ元サンパウロ市市長の進歩党(PP)が労働者党(PT)からサンパウロ市長選に出馬するフェルナンド・ハダジ候補の支持に回ることが明らかになり、ハダジ氏の副候補として発表されていたルイーザ・エルンジーナ氏(ブラジル社会党:PSB)が副市長候補を辞退した。20日付伯字紙が報じている。

 エルンジーナ氏は14日にPSBからハダジ候補の副として発表され、15日にはハダジ氏と共に記者会見も行った。だが、15日にPPがPTの支持に回ることを知ると、エルンジーナ氏は態度を硬化させ、「不快だ」と発言していた。
 それでも副市長候補の辞退には至っていなかったが、18日にルーラ前大統領とハダジ氏がサンパウロ市にあるマルフ氏の自宅に出向き、PPのハダジ氏支援が正式に発表されたときの写真を目にしたことで事態が一変。
 「強い拒否反応が生まれた」というエルンジーナ氏は19日、PSBのエドゥアルド・カンポス党首らと話し合い、「副市長候補でいつづけることの方がより強い火種となりうる」ということで副市長候補を降りることが正式に発表され、ルーラ元大統領も了承した。
 エルンジーナ氏はPT時代の1989〜92年にサンパウロ市長をつとめたが、1993〜96年の市長職はマルフ氏に奪われており、汚職と軍事政権への関与がいわれるマルフ氏は、自身の政治家人生にとって「1ミリも共感できない」存在と表現している。ちなみにPPの支持獲得のためにマルフ氏の自宅に赴いたルーラ氏は、エルンジーナ氏の副市長候補記者会見には姿を現さなかった。
 このエルンジーナ氏の決断をカンポス氏から電話で聞いたハダジ氏は、「非常に残念だ。彼女と共に選挙戦を闘いたかったのに」と語り、エルンジーナ氏に代わる副市長候補についても「PPから選ぶことはない」とだけしか語らなかった。また、PTがPPと同盟を結んだことに関しては「連邦政府への支持の件もあるので後悔していない」と語った。PPがPT支持に回ったのは連邦政府が交換条件を示した結果と言われており、PPのオズワルド・ガルシア氏が自治省の環境衛生局長に指名されたのがそれに当たるようだ。
 PTとPPの同盟について、民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ候補は「テレビでの宣伝時間の確保は大切だが、そのために〃何でもあり〃はないだろう」とPTの姿勢を批判した。PPとの同盟で、ハダジ氏はテレビやラジオの宣伝時間を1分43秒得る。
 また、エルンジーナ氏に代わるハダジ氏の副市長候補だが、PSBから候補を立てる場合はケイコ・オオタ氏やペドロ・ダラーリ氏の名前があがっている。また、ブラジル共産党のレシ・ブランドン氏も候補の1人と見られている。