ニッケイ新聞 2012年6月22日付け
「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の首脳会議が20日に始まった。ジウマ大統領は開会式での演説で、「この会議は経済危機などで大変な時だからこそ持つべきで、19日未明にまとまった『声明文は合意の実』」と主張したと21日付伯字紙が報じた。
世界193カ国の代表が集まるリオ+20首脳会議は、将来の世代に豊かな地球環境を残すために新たな経済や暮らしの在り方を模索するためのもので、23日まで開催される。20日には、ニュージーランドから来た次世代代表のブリタニー・トリルフォードさん(17)のスピーチなども行われた。
19日にまとまった283項目の声明文「我々の望む未来」は、グリーン経済への移行を目指す工程表なども盛り込んだ1月の素案から大きく後退。非政府団体(NGO)などが、抽象的で実効性に乏しい、骨抜きなどと批判した声明文については、国連の潘基文事務総長も、「もっと野心的な内容になると思っていた」と発言した。
これに反論したのが、首脳会議の議長を務めるジウマ大統領だ。声明文は世界各国を持続可能な開発という目的実現のために必要な変化へと導く指標であり、各国の「合意の実」と弁護した。
ジウマ大統領は、1992年の合意の中には計画の域を脱していないものがあり、世界各国がこの状況を変えるための行動を起こすべきとした上で、声明文は、我々が望む未来に向けて各国の立場を超えて歩み寄ろうとした結果と強調した。
また、「世界的な経済危機や先行き不安の中だからこそ、リオ+20には特別な意味がある」と宣言し、成長と雇用を念頭に置いた政策こそが経済回復の鍵との持論を繰り返した。
さらに、経済成長も緩やかにならざるを得ない世界情勢だからこそ、労働者や女性、子供、年金生活者や失業者、移民といった弱者に眼を向けるべきと強調。前任の大統領3人を前に、リオ92以降のブラジルは4千万人が貧困層から中流階級に移行、法定アマゾンの森林伐採の減少や1800万の雇用創出で、持続可能な開発の鍵である成長と包括、保護を実践し、社会格差の縮小や貧困撲滅への取組みも奏功と紹介した。
一方、リオ92で世界各国の首脳を沈黙させたカナダのセヴァン・カリス・スズキ氏(当時12歳)同様、次世代代表であるブリタニーさんのスピーチも開会式で注目を集めた。ブリタニーさんは「現在の世界の状況に混乱と怒りを覚え、熱い思いを持ってここにいます」「私を世界の半分を占める子供であり、あなた方の息子、娘だと思ってください。92年の約束は反故にはされていませんが、空虚なものになっています」と語った後、「あなた方は自分達の面子を立てるためにここにいるのですか、それとも私達を救うためですか」と問いかけた。