ニッケイ新聞 2012年6月26日付け
イタリア・ノヴァラ市で5月25〜27日に開催された『第15回世界剣道選手権大会』に男女ブラジル代表が出場し、男子団体ベスト8、女子団体3位という成績を残した。目標としていた「男女両方での3位入賞」は叶わなかったものの、個人戦でもベスト16に4人の選手が名を連ね、個人・団体の両部合わせ4人で5つの敢闘賞を獲得する健闘を見せた。
ブラジル代表の大会のハイライトは、女子団体の準々決勝オーストラリア戦。先鋒のエース高階エリゼッチ、2番手の宮沢ナツミが共に0—2で敗戦し後がない状況に追い込まれたが、残る3人が2勝1分けと盛り返した。勝利数、取得本数共に同点となったため、勝敗は一本勝負による代表戦に持ち越された。
「誰もが手に汗握った」と山本八士郎選手団団長が話す緊迫した空気の中、大将・尾中エルザミが改心の籠手一本で勝利。染谷ロベルト監督のガッツポーズとともに、ブラジルに2大会連続の準決勝進出が転がり込んだ。続く韓国戦には敗れたものの、この劇的な逆転勝利が評価され、尾中が団体戦の部で敢闘賞を獲得した。
一方の男子団体は「あと一本」が足りず、準々決勝ハンガリー戦で涙を飲んだ。5人の対戦を終えた時点で成績は2勝1分け2敗の五分と五分。勝利数が並んだ場合は、取得本数で勝敗が決まるため、日本の5本に対し6本を奪取したハンガリーに軍配が上がった。この惜敗に山本団長は「悔いが残る試合はこの一戦のみ。本当に惜しかった」と唇を噛む。
男子190人、女子132人が参加した個人戦では、大政ロナルド、高山アルベルト、尾中、高階の4人がベスト16に進出。大政、高階が個人戦の部、高山が団体戦の部、尾中が個人・団体両部で敢闘賞を獲得した。
公認審判員として大会に参加した蛯原忠男ブラジル剣道連盟会長は「大奮闘の結果。彼らの戦いには満足している」と健闘を讃えながらも「世界のレベルが上がっていることを実感した。今後は科学に基づいた効率的なトレーニングの導入も検討していかなければ」と3年後に日本である次回大会に向け、表情を引き締めた。