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リオ+20の評価分かれる=声明文は新しい出発点=具体的な目標は15年に=自発投資は5千億ドルも

ニッケイ新聞 2012年6月27日付け

 「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が22日に閉幕した。具体的な目標などの記載のない声明文への国際評価は様々だが、ミレニアム開発目標がターゲットとする2015年には目標を記載した文書を出す事などが決まり、国連にとって持続可能な開発目標設定に向けた新しい出発点となったと23、24日付伯字紙が報じた。

 世界188カ国の代表や9856の非政府団体関係者など、4万5381人が集まったリオ+20が22日で幕を閉じ、二つの決定事項と数多くの確認事項を含む声明文が採択された。
 声明文は、他の国連首脳会議同様、1カ国でも異議や反対を唱えれば採択できない性格のもの。それを熟知する潘基文国連事務総長は、首脳会議初日の20日に「もっと野心的な声明文になると思っていた」と発言したが、翌日は「俯瞰的で野心的かつ実際的」と前言を撤回。取りまとめに加わった欧州の担当者も「これはブラジルの作った文書ではなく国連の文書」と明言した。
 だが、声明文が採択されずに首脳会議が終わる事を恐れ、会議前に最終案をまとめた事や、温室効果ガスの排出量の削減目標、持続可能な開発のための基金新設などの具体的な記載がない事に不満があったのも事実。
 米国では「これだけの金をつぎ込んでやる価値はなかった」という批判も出、ドイツでは「各国が自国の勝手で無意味な争いで生じた『気候の温暖化に対する十字軍』」「20年前の成果を上積みし、さらに前進するよう決意するのを期待した人々は大きく落胆した」との報道もあった。
 だが、2000年9月に国連加盟189カ国が採択した、国際社会が達成すべき八つの目標「ミレニアム開発目標」の達成期限である15年には具体的な目標を掲げる事と、持続可能な開発のためのフォーラム設置を決めた事は前進で、問題解決に向けて必要な圧力を生み出すはずだ。
 また、13日以降、歓迎レセプションや準備委員会、民衆会議など、6千のイベント中、持続可能な開発に取り組む政府や企業、大学、市民団体が自発的に申し出た投資その他の約束は705、そのための資金も5130億ドルに上った。
 持続可能な開発用の基金新設は、北半球の先進国が貧しい南半球の国を支援という従来の構図が描けず、詳細が決まらないまま終わったが、大手地域銀行8行が持続可能な開発のために5年間で1750億ドル拠出などは、声明文に現れない成果の一つだ。
 温室効果ガスの排出削減目標などが削除されたのは中国や印度、ブラジルといった新興国の意向の反映だが、ミレニアム目標にもある飢餓や貧困の削減などが盛り込まれた事は、環境会議ではなく持続可能な開発会議であった所以だ。世界規模での持続性への目標設定やその具体化、実行には、これまで以上に各国の努力が必要となってくる。