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リオが世界文化遺産に=人の営みと自然美が共存=市街地では初のタイトル

ニッケイ新聞 2012年7月3日付け

 ロシアのサンクトペテルブルクで開催中の「第36回世界遺産委員会」が1日に新しい世界遺産八つを発表し、リオデジャネイロの美しい景観が世界文化遺産に登録されたと2日付伯字紙が報じた。
 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が定める世界遺産は、文化、自然、複合の3種。ブラジルで19番目の世界遺産となるリオは世界三大美港の一つで、美しい自然とその懐に抱かれるように築かれた独特な都市の姿が〃文化的景観〃と評価され、市街地では世界初の遺産登録となった。
 世界遺産は、1972年のユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき、遺跡や景観、自然など、人類が共有すべき価値を持つ物件で、移動不能な不動産やそれに準ずるものが選ばれる。
 リオ市を世界遺産にとの動きは、2009年の国立歴史美術遺産院(Iphan)による書類提出で具体化。人の営みと自然が共存、融合した場所として、ポン・デ・アスーカルやコルコバードの丘、ジャルジン・ボタニコ、埋め立て地に造られたフラメンゴ公園、コパカバーナ海岸に沿って続く波模様を描く歩道、チジュッカの森など、13カ所が挙げられた。
 従来の世界文化遺産は、歴史上や芸術上の価値が認められた建造物などの記念工作物と、複数の建造物を全体として評価した建造物群、過去の栄華を偲ばせるような遺跡や現存する農業文化の継承地域など、建造物に止まらず、地域一帯を対象とするものの3種だった。だがリオは、1992年採用の、人間と自然の相互作用によって生み出された景観を差す〃文化的景観〃により遺産登録となった初の例だ。
 世界遺産に登録された場所には保護や保守の義務があり、ルイス・フェルナンド・デ・アルメイラIphan院長はグアナバラ湾の浄化も含む管理履行を約束。経済学者のセルジオ・ベセルマン氏は「リオは自然と町並みが融合する唯一の街」とし、ジャーナリストのルイ・カストロ氏は「リオのように風光明媚で1年中人の動きが絶えない町は世界中どこを探してもない」と太鼓判を押している。
 国内にある他の世界遺産は、ペルナンブコ州オリンダやバイア州サルバドール、マラニョン州サンルイス、ミナス州ジアマンチーナ、ゴイアス州の各歴史地区、南大河州にあるグアラニーのイエズス会伝道所群、ミナス州ボン・ジェズス・デ・マトシーニョス聖堂、ブラジリアのパイロット・プラン、ピアウイ州セーラ・ダ・カピヴァラ国立公園などの文化遺産10と、イグアス国立公園、パラナ〜サンパウロ州並びにバイア〜エスピリトサント州の大西洋岸森林保護区などの自然遺産八つ。