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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年7月3日付け

 党人政治家の川島正次郎に「政界一寸先は闇」がある。政治の世界では、政敵同士がある日突然—握手したり、刎頚の友が裏切りをと日々に常なるものはない。今日は親しい友と信じて行動してきたのに明日になると敵になり闘争が激突すると政界を痛烈に皮肉った名言でもある。小沢氏ら50人の離党は、かなり前から動きがあったし、この「一寸先は闇」とはちょっと異なるが、野田政権が苦しくなるのは避けられない▼小沢氏には「壊し屋」のニックネームが贈られている。あの宮沢首相に不信任案を叩きつけ自民党を離党し、44人の仲間と「新生党」を旗揚げ、細川護煕内閣を樹立したが、これも8カ月で終わり、次には「新進党」を結成する。これも直ぐに解散し「自由党」を結党したけれども、あまりうまくはいかず、民主党と合流するという「壊しては新しい政党」の道を歩み進んできた▼今回も小沢氏は今週中にも新党をと語っているが、これが大成するかどうかは誰にも解らない。ただ—マスコミの調査では「新党に期待」する人は真に少ない。共同通信では僅かに15%であり、有力新聞も75%が否定しており、末広がりは難しい。加えて小沢氏の地元・岩手県から選出された2人が離党を見送り「小沢王国」のほころびも目だっている▼それでも、衆院では自民に次ぐ第3党になり、キャスチングボートを握るケースもあるだろうが、小沢氏の描く「2大政党」の夢には遥かに遠い。むしろ、野田首相と民主党は、自民と公明両党との連携に力を注ぐであろうし、日本の新しい政治は、ここから始まっても何の不思議もない。(遯)