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447便の真相明らかに=速度計故障に操縦士不慣れ=遺族と報道陣に異なる説明

ニッケイ新聞 2012年7月7日付け

 2009年5月に228人の命を奪ったリオ発パリ行きのエールフランス447便の墜落事故に関する最終報告が5日に行われ、機械の故障についての詳細や操縦士の不手際などが改めて明らかとなった。6日付伯字紙が報じている。
 09年5月31日19時3分にアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港からパリのシャルル・ドゴール国際空港に向けて飛び立った同機は、23時14分頃を最後に音信を絶ち、ペルナンブーコ州から北東の位置にある大西洋上のセントピーター・セントポール(サンペドロ・サンパウロ)群島付近に墜落し、ブラジル人58人を含む、乗客・乗務員合わせて228人が死亡した。
 事故の原因については真相をつかみあぐねていたが、2011年5月2日に仏航空機事故調査局(BEA)が同機のフライトレコーダーを発見。それを解析した結果、機長のマルク・デュボワ氏が休憩中で副操縦士が操縦していたことなどが明らかとなっていた。
 BEAは5日、パリから20km離れたル・ボルジェ空港でフライトレコーダー解析の最終報告を行った。午前中の報告は遺族向けで、ピトー管と呼ばれる速度センサーが凍結を起こしていたこと、自動操縦のナビゲーターの電気が数秒間消え、再点灯した際に高度を上げる指示を墜落前の4分間に渡って送りつづけていたことなど、技術面でのトラブルがあったことを報告した。
 だが、午後マスコミ向けに行った報告では、遺族団のコンサルタントでもある操縦士の発言を機に操縦室での最後の会話も紹介され、ピエール・セドリック・ボニン副操縦士が「ぶつかるぞ。そんなバカな。一体全体、何が起こってるんだ」と叫んでいたことなども明らかにされた。
 これにより、午後の説明会では、技術的なことよりも、機械を鵜呑みにし、手動運転に慣れていなかった操縦士の不手際を中心とした説明がなされた形となった。
 これを受け、遺族たちは、「朝聞いた話だと〃操縦士は機械の指示に従った〃とだけしか言ってなかったが、随分話が違うじゃないか」「私たち遺族をバカにしているのか」との不満を爆発させ、BEAがエールフランスやエアバスをかばっているのではとの疑心暗鬼の声も出た。
 ブラジルの遺族団代表のネルソン・マリーニョさんも、「頭ごなしに否定された気分だ」と怒りをあらわにし、賠償金を求めて民事訴訟を起こしている他国の遺族グループにブラジル遺族団も加えてもらえるよう、パリの裁判所に手続きを行う予定であることも明らかにした。

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