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PT=パウマス市長を除名へ=カショエイラとの密談で=外様党員で党意への謀反も

ニッケイ新聞 2012年7月11日付け

 連警のモンテカルロ作戦やベガス作戦で摘発されたカルリーニョス・カショエイラ容疑者との密談ビデオが公表されたことを受け、トカンチンス州パウマス市のラウル・フィーリョ市長がカショエイラ事件の議会調査委員会(CPI)での証言後に労働者党(PT)から除名される可能性が出てきた。7、8、10日付伯字紙が報じている。
 2004年の市長選当時のフィーリョ候補とカショエイラ氏との密談ビデオは、1日放映のTVグローボ「ファンタスチコ」が暴露した。フィーリョ氏は、カショエイラ氏からの選挙献金の見返りに事業の便宜を図ることを約束している。
 パウマス市ではその2年後から、1億1900万レアル相当の清掃事業が、カショエイラ氏の仲介でデルタ社にまかされているが、清掃事業での六つの契約のうち四つは入札が行われていないなど、不正な契約だった可能性が強い。フィーリョ市長はデルタ社に便宜を図ったとの容疑を否定しているが、カショエイラ氏から15万レアルの献金を受け取ったことを認めていた。
 フィーリョ市長は10日、カショエイラ事件に関するCPIで証言したが、PTはこの証言直後にも同市長の除名に動くと見られている。除名処分にPTが踏み切る背景には、フィーリョ氏が外様党員であることがあげられる。同氏は政敵であるDEM(民主党)の前進のPFL(自由戦線党)の出身で、PSDB(民主社会党)や大衆社会党(PPS)を経た後に2003年にルーラ大統領の特別な計らいでPTに迎えられた。
 また、フィーリョ氏とその妻でトカンチンス州議員のソランジュ・ドゥアイリベ氏は、2010年の上院議員選挙で、PTのパウロ・モウロン候補ではなく、共和党(PR)のジョアン・リベイロ候補を推薦しており、党に対する謀反を起こしたとしてPTの同州支部が11年4月に除名処分にしたが、同年6月に党中央本部が州支部の決定を覆した経緯がある。
 だが、PTがフィーリョ氏除名に動く真の狙いは、同市長の除名で、カショエイラ事件での非難の矛先を、同じく疑惑の渦中にあるPSDBのマルコーニ・ぺリロ・ゴイアス州知事に向けることにあるとされている。
 他方、2010年のトカンチンス州知事選挙でのジョゼ・シケイラ・カンポス知事(PSDB)の献金の41%はカショエイラ氏から出ていた。同州と契約を結んだ広告会社のひとつは先週まで同州局長で州知事の息子のエドゥアルド氏の家に事務所を置いていたが、この会社はカショエイラ氏やデルタ社と関係があることも発覚。カショエイラ氏の影響は同州全体に及ぶことが伺える。