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年間1千人もの留学計画=日本へ大規模な派遣検討=ブラジル政府「国境なき科学」=日伯首脳会談は今年にも

ニッケイ新聞 2012年7月13日付け

 年間1千人のブラジル人が一斉に日本の大学に留学か—。ブラジルの発展にとって優先度が高いとみなされる科学技術分野の人材を育成し、ブラジルの競争力強化を目的とした奨学金プログラム「国境なき科学(Ciencia Sem Fronteiras)」の一環として、日本への相当数のブラジル人留学生派遣が計画され、実現に向けた交渉が最終段階にきている。先月21日、リオ+20(国連持続可能な開発会議)開催中にリオで行われた両国外相会談で、アントニオ・パトリオッタ外相は玄葉光一郎外相に協力を要請し、「大いに歓迎する。できるだけ早期に実施機関間の協力文書を作り上げたい」と日本側は前向きな姿勢を明らかにした。

 在伯大使館の高杉優弘公使は、「まだ覚書が締結されていないので、はっきりしたことは言えない」と前置きした上で、「米国のように1万人単位とはいかないまでも年間1千人の派遣が目標」と見解をのべた。
 昨年6月、ブラジル政府が正式に認可した「国境なき科学」計画は、2014年までに政府からの7万5千件の奨学金(31・6億レ相当)を教員、研究者、大学院生、学部生に供与するというもので、期間は半年〜4年間。国外の著名な大学等にブラジル人学生を派遣すると同時に、学費を免除する条件で外国人学生を国内の教育機関に受け入れるというものだ。
 すでに日本国内では文部科学省の関係機関が調整済みで、数多くの大学が受け入れる意向をみせている。高杉公使によれば今月末にも実施機関である当国の教育省、科学技術省の関係機関代表が訪日し、実現に向け最終調整が行われる予定。
 来年4月からの受け入れ開始には、今年後半にはブラジルで公募をかける必要があり、その後派遣される学生が希望を出し、各大学と調整を行うことになる。今は文書を締結するための準備が進められている段階だ。
 高杉公使は「鋭意実現に向けて詰めているところ。近く話がまとまると思う」と期待する。早ければ来年4月から、日本の複数の大学に相当数のブラジル人学生が派遣され、これまでにない大規模な学術交流がスタートすることになりそうだ。
 一方、玄葉外相は同外相会談で、日本政府がかねてからジウマ大統領の訪日、野田佳彦首相との首脳会談の実現を望んでいることに言及。パトリオッタ外相は「できれば今年、もしくは来年前半には実現したい」と応えたという。
 ブラジルで現政権が発足してから、5月に電話会談はあったもののまだ一度も面会していない両国首脳。ジウマ大統領は官房長官時代の2008年に訪日し、当時の福田康夫首相と面会しているものの、大統領就任後は訪日に至っていない。
 高杉公使は「本当は昨年に実現できればよかったが、(大統領の)都合がつかず無理だった。日本政府としては右肩上がりのブラジルとの関係を強化したいという考え」との意向を説明し、実現に向け期待を寄せた。